肝細胞癌に対する肝区域性動脈門脈同時塞栓化学療法(セメント療法)

肝動脈内に注入したLipiodolが,ある程度の量をこえると門脈内に流入する現象を利用して,抗癌剤とLipiodolのemulsionを経動脈性に目的とする区域の門脈枝内に注入した.さらに,肝動脈区域枝をGelfoamで塞栓することによって,区域性動脈門脈同時塞栓化学療法(セメント療法)を行った.本法施行後に肝切除を行った4例では,collateral supplyのあった1例を除いて,主腫瘍,微小転移巣とも完全壊死に陥り,非癌部にも梗塞を認めた.また,本法施行後,経過観察を行った41例では,CTでLipiodolの100%近い残存を認め,肝シンチでは区域性のuptake低下を認めた.41例の...

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Published in肝臓 Vol. 31; no. 9; pp. 1094 - 1099
Main Authors 中村, 仁信, 大井, 博道, 橋本, 勉, 澤田, 敏, 古井, 滋, 高安, 幸生, 堀, 信一, 井上, 賢二, 関, 孝一, 水本, 正剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.09.1990
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Summary:肝動脈内に注入したLipiodolが,ある程度の量をこえると門脈内に流入する現象を利用して,抗癌剤とLipiodolのemulsionを経動脈性に目的とする区域の門脈枝内に注入した.さらに,肝動脈区域枝をGelfoamで塞栓することによって,区域性動脈門脈同時塞栓化学療法(セメント療法)を行った.本法施行後に肝切除を行った4例では,collateral supplyのあった1例を除いて,主腫瘍,微小転移巣とも完全壊死に陥り,非癌部にも梗塞を認めた.また,本法施行後,経過観察を行った41例では,CTでLipiodolの100%近い残存を認め,肝シンチでは区域性のuptake低下を認めた.41例の累積生存率は,1年86.7%, 2年60.7%と良好であった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.31.1094