環椎後弓より発生した良性骨芽細胞腫の1例

良性骨芽細胞腫(benign osteoblastoma)は, 1956年Jaffe7)およびLichtenstein 8)によって命名された骨形成性の良性骨腫瘍である. 発生頻度は原発性骨腫瘍の1%以下2, 16)と言われまれなものであるが, その約20~50%は脊椎に発生し, 慢性進行性に神経症状を呈するものも少なくない5, 10). したがって, 脳神経外科医にとっても脊椎腫瘍の一つとして考慮すべき疾患と考えられる. 我々は, 環椎後弓より発生した良性骨芽細胞腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 <患者>54才, 男性 主訴:後頸部痛 家族歴・既往歴...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 25; no. 3; pp. 223 - 228
Main Authors 河本俊, 北岡憲一, 阿部弘, 中村仁志夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1985
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ISSN0470-8105

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Summary:良性骨芽細胞腫(benign osteoblastoma)は, 1956年Jaffe7)およびLichtenstein 8)によって命名された骨形成性の良性骨腫瘍である. 発生頻度は原発性骨腫瘍の1%以下2, 16)と言われまれなものであるが, その約20~50%は脊椎に発生し, 慢性進行性に神経症状を呈するものも少なくない5, 10). したがって, 脳神経外科医にとっても脊椎腫瘍の一つとして考慮すべき疾患と考えられる. 我々は, 環椎後弓より発生した良性骨芽細胞腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 <患者>54才, 男性 主訴:後頸部痛 家族歴・既往歴:特記すべきことなし 現病歴:1982年2月頃より後頸部につっぱるような痛みが出現した. 某医にて牽引療法などを受けたが軽快せず, 痛みはむしろ徐々に増強してきたため, 1983年1月26日当科に入院した. この間に四肢のしびれ感, 脱力, 歩行障害, 排尿障害などはなかった.
ISSN:0470-8105