孔脳症の1症例

CTの普及に伴い, 孔脳症あるいはクモ膜嚢胞の診断が容易となり, 症例も増加した. しかし, 孔脳症とクモ膜嚢胞の鑑別は, CTのみからではかなり困難な症例に遭遇することもある. そこで, CT, 手術所見および病理組織学的所見から孔脳症と診断した1症例を報告し, 孔脳症とクモ膜嚢胞の診断および鑑別について文献的考察を加えた. 症例 〈患者〉33才, 男性 主訴:全身痙攣, 右不全片麻痺 既往歴:妊娠・分娩経過正常, その他特記すべき事項なし. 家族歴:特記すべき事項なし. 現病歴:生後6ヵ月の頃より右不全片麻痺が出現した. 22才時には初めて全身痙攣発作が出現, その後1ヵ月に1度の頻度で同...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 29; no. 4; pp. 347 - 351
Main Authors 松前光紀, 吉岡真澄, 村岡勲, 森田明夫, 萬年徹, 郭伸, 津梅史代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1989
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Summary:CTの普及に伴い, 孔脳症あるいはクモ膜嚢胞の診断が容易となり, 症例も増加した. しかし, 孔脳症とクモ膜嚢胞の鑑別は, CTのみからではかなり困難な症例に遭遇することもある. そこで, CT, 手術所見および病理組織学的所見から孔脳症と診断した1症例を報告し, 孔脳症とクモ膜嚢胞の診断および鑑別について文献的考察を加えた. 症例 〈患者〉33才, 男性 主訴:全身痙攣, 右不全片麻痺 既往歴:妊娠・分娩経過正常, その他特記すべき事項なし. 家族歴:特記すべき事項なし. 現病歴:生後6ヵ月の頃より右不全片麻痺が出現した. 22才時には初めて全身痙攣発作が出現, その後1ヵ月に1度の頻度で同様の痙攣発作を繰り返したが, 1年後, 自然治癒した. 27才時より再び全身痙攣発作が頻回となったため, phenobarbital 75mg/day, phenytoin 250mg/dayを投与され, 以後発作は認められていない. 1982年9月, 当センター神経内科外来にてCTを施行したところ, 左大脳半球に低吸収領域を認め, 精査のため入院, その後脳神経外科へ転科となった.
ISSN:0470-8105