頭皮動静脈奇形に対するstainless steel coilによるembolizationの試み

頭皮上にみられる動静脈奇形(AVM)は, 頭蓋内AVMに比べてまれである8). 最近我々は, 頭部外傷を契機として増大したと想定される巨大な後頭部頭皮AVMを経験し, その治療に永久的閉塞が期待できるとされるstainless steel coilによるembolizationを試みたのでここに報告する. 症例 <患者>26才, 男性 主訴:左後頭部拍動性腫瘤, 頭重感 現病歴:8年前, 友人に角材で後頭部をなぐられ皮下血腫を認めた. 完全な消褪をみず放置していたところ, 4~5年前より腫脹が目立つようになり, 頭重感を伴うようになった. 昨年より飲酒時痛みが強くなり, 精査を目的...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. 4; pp. 273 - 277
Main Authors 池田幸穂, 中沢省三, 樋口皓史, 本多一義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:頭皮上にみられる動静脈奇形(AVM)は, 頭蓋内AVMに比べてまれである8). 最近我々は, 頭部外傷を契機として増大したと想定される巨大な後頭部頭皮AVMを経験し, その治療に永久的閉塞が期待できるとされるstainless steel coilによるembolizationを試みたのでここに報告する. 症例 <患者>26才, 男性 主訴:左後頭部拍動性腫瘤, 頭重感 現病歴:8年前, 友人に角材で後頭部をなぐられ皮下血腫を認めた. 完全な消褪をみず放置していたところ, 4~5年前より腫脹が目立つようになり, 頭重感を伴うようになった. 昨年より飲酒時痛みが強くなり, 精査を目的として当科を受診し, 入院となった. 入院時所見:意識清明. 神経学的に異常なし. 左後頭部に約8×8cmの拍動性腫瘤を認め, 当部聴診にて著明なbruitを聴取した. 血圧116/70mmHg, 赤血球, 白血球, 血沈, 肝機能などの検査所見で異常を認めなかった. 胸部単純撮影, 心電図にて心肥大などの所見は認められなかった.
ISSN:0470-8105