モデル地域における大腸集検の実施成績

わが国の大腸癌死亡率の増加に伴い第2次予防としての大腸癌検診の重要性が認識されてきている. 今回我々は岡山県内のモデル地域において1986年から1991年までの6年間に実施した大腸集検の成績について検討した. スクリーニングには免疫便潜血検査を用いたが, これは従来の化学法では感度が低く食事制限が必要なため現在は免疫法が主流となってきている. 検診結果から要精検率は平均9.6%で, 精検受診率は81.0%であった. 発見大腸癌症例は11例で, 発見率は全体で0.12%であった. 部位別にみるとS状結腸が7例で最も多く, Dukes分類ではAが10例でBが1例であった. 受診歴からみると経年受診...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 20; no. 1; pp. 13 - 17
Main Authors 日隈慎一, 松田誠治, 武田直人, 木村惠, 三宅真理子, 赤木公成, 唐井一成, 井手口清治, 成本仁, 北昭一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1994
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Summary:わが国の大腸癌死亡率の増加に伴い第2次予防としての大腸癌検診の重要性が認識されてきている. 今回我々は岡山県内のモデル地域において1986年から1991年までの6年間に実施した大腸集検の成績について検討した. スクリーニングには免疫便潜血検査を用いたが, これは従来の化学法では感度が低く食事制限が必要なため現在は免疫法が主流となってきている. 検診結果から要精検率は平均9.6%で, 精検受診率は81.0%であった. 発見大腸癌症例は11例で, 発見率は全体で0.12%であった. 部位別にみるとS状結腸が7例で最も多く, Dukes分類ではAが10例でBが1例であった. 受診歴からみると経年受診者はすべてDukes分類のAであり, このことから検診未受診者の受診勧奨とともに逐年検診が重要と考えられた. 「緒言」近年わが国の大腸癌死亡率は増加傾向1)にあり, その対策としての大腸癌検診はますます重要になってきている. 便潜血検査を用いた大腸集検が広く行われてきているが, 当院ではモデル地域において1984年から総合検診として一般健康診査に胃検診および大腸検診を併用し1987年からは腹部超音波検診を加えた住民検診を開始している.
ISSN:0386-5924