脊髄空洞症の臨床的検討-臨床症候と画像診断の関連について

川崎医科大学神経内科学教室へ過去5年間に入院した脊髄空洞症, 計6例の臨床症候と画像診断における空洞の局在との関連を検討した. 症候学的には, 6例全例で上部頸髄, 胸髄レベルの障害を認め, そのうち5例では左右差があった. delayed metrizamide CT(以下D-CTと略す), 核磁気共鳴映像(以下MRIと略す)では, 空洞が全例検出され, 症候学的に左右差を認めた5例では空洞は偏在し, 偏在側と症候学的に障害の強い側は一致していた. 偏在箇所は, 主に後角部にあり症状発現に後角の関与が示唆された. 矢状断における空洞の上下方向の広がりに関して, 症候学的診断とMRI上での診断...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 14; no. 4; pp. 571 - 578
Main Authors 大賀律, 小西吉裕, 東靖人, 河合謹豪, 安田雄, 寺尾章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1988
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Summary:川崎医科大学神経内科学教室へ過去5年間に入院した脊髄空洞症, 計6例の臨床症候と画像診断における空洞の局在との関連を検討した. 症候学的には, 6例全例で上部頸髄, 胸髄レベルの障害を認め, そのうち5例では左右差があった. delayed metrizamide CT(以下D-CTと略す), 核磁気共鳴映像(以下MRIと略す)では, 空洞が全例検出され, 症候学的に左右差を認めた5例では空洞は偏在し, 偏在側と症候学的に障害の強い側は一致していた. 偏在箇所は, 主に後角部にあり症状発現に後角の関与が示唆された. 矢状断における空洞の上下方向の広がりに関して, 症候学的診断とMRI上での診断を比較すると, 両者の吻側への広がりは全例一致したが尾側への広がりは1例のみ一致したにすぎず, 臨床症候がより広範囲の垂直方向への伸展を示した. このことは, 脊髄空洞症に合併する側彎症のため画像上十分に空洞が描出できない可能性や小さな部分の空洞まで描出できない可能性のためと思われた.
ISSN:0386-5924