肺病変を伴わない環軸椎カリエスの一例
「はじめに」脊椎カリエスは近年稀な疾患となり, なかでも環軸椎カリエスの頻度は低く, 脊椎カリエス全体の0.3%にすぎない. 今回私たちは, 単純X線像では異常を認めず, CT, MRIにて異常を認め, 結核菌PCR法にて早期に診断できた環軸椎カリエスを経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.「症例」症例:29歳, 女性. 現病歴:平成11年1月, 右鎖骨上高の皮下腫瘤にて外科を受診した. 吸引した内容液の好気性および嫌気性培養はともに陰性であった. 皮下腫瘤は自然に消失したが, その後も全身倦怠感, 易疲労性は持続していた. 平成11年6月から頚部痛, 頭痛, 嚥下困難, 背部痛が...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 50; no. 3; pp. 862 - 866 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2001
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ISSN | 0037-1033 |
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Summary: | 「はじめに」脊椎カリエスは近年稀な疾患となり, なかでも環軸椎カリエスの頻度は低く, 脊椎カリエス全体の0.3%にすぎない. 今回私たちは, 単純X線像では異常を認めず, CT, MRIにて異常を認め, 結核菌PCR法にて早期に診断できた環軸椎カリエスを経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.「症例」症例:29歳, 女性. 現病歴:平成11年1月, 右鎖骨上高の皮下腫瘤にて外科を受診した. 吸引した内容液の好気性および嫌気性培養はともに陰性であった. 皮下腫瘤は自然に消失したが, その後も全身倦怠感, 易疲労性は持続していた. 平成11年6月から頚部痛, 頭痛, 嚥下困難, 背部痛が出現した. 近医を受診し, 頚椎椎間板ヘルニアの疑いにて保存療法をうけたが, 症状が改善しなかったため7月に当科を紹介された. 既往歴, 家族歴:特記すべき事項はなかった. 初診時所見:頚部の可動域制限, 軽度の斜頚, 微熱の持続, 夜間盗汗を認めた. 四肢の腱反射は亢進していたが, 筋力低下, 感覚異常は認めなかった. |
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ISSN: | 0037-1033 |