虚血性脳浮腫に対するCa拮抗剤(nicardipine hydrochloride)の効果

Nicardipine hydrochlorideは1, 4-dihydropyridine誘導体で, nifedipine, nimodipineなどのCa拮抗剤と同様, 血管拡張作用, 脳および冠血流増加作用が知られている26, 27). これまでにこれらCa拮抗剤を用いた脳循環障害の治療は多数報告されている1, 9-11, 19, 24)が, いずれも薬剤の脳血管拡張作用, 血流増加作用に注目したものであった. しかし, nicardipineの臨床治療効果について1983年に実施されたopen trial(脳動脈瘤破裂後の脳血管攣縮に対するnicardipineの臨床研究16))の集計...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 27; no. 9; pp. 819 - 824
Main Author 阿部耕三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1987
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ISSN0470-8105

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Summary:Nicardipine hydrochlorideは1, 4-dihydropyridine誘導体で, nifedipine, nimodipineなどのCa拮抗剤と同様, 血管拡張作用, 脳および冠血流増加作用が知られている26, 27). これまでにこれらCa拮抗剤を用いた脳循環障害の治療は多数報告されている1, 9-11, 19, 24)が, いずれも薬剤の脳血管拡張作用, 血流増加作用に注目したものであった. しかし, nicardipineの臨床治療効果について1983年に実施されたopen trial(脳動脈瘤破裂後の脳血管攣縮に対するnicardipineの臨床研究16))の集計結果によれば, 脳動脈瘤の破裂によりCT上, 基底槽に多量のクモ膜下出血が認められた症例や, 血管写上vasospasmが確認された症例においてさえも神経学的症状を呈したsymptomatic vasospasmの発生頻度はnicardipine投与により著しく低下し, 予後もきわめて良好であったと報告されている.
ISSN:0470-8105