NIDDM症例における糖代謝異常から正常化へのコントロールプロセスの検討 -インスリン療法を中心として

NIDDMの発生期や急性増悪期には, インスリンの欠乏による代謝異常が, 生体のインスリン抵抗性を増大させ, さらに大きな代謝異常へと続く悪循環が言われている. このような状態にある症例に対して, 積極的にインスリン治療を行うことにより, 可逆的な代謝異常が改善されることが考えられる. しかし, 代謝状態の急変は, 生体にマイナスをもたらすことも考えられ, そのプロセスをコントロールしていくことが重要であると考えられる. その第一歩として, 当院でインスリン治療を行った8症例について新しい記述手段を提案し, 各症例の実際の治療と, コントロールプロセスの関係を検討した. その結果, 全く異なる...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 18; no. 1; pp. 11 - 19
Main Authors 米田正也, 有田清三郎, 広川泰嗣, 松木道裕, 住友正治, 江口毅, 西田聖幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1992
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Summary:NIDDMの発生期や急性増悪期には, インスリンの欠乏による代謝異常が, 生体のインスリン抵抗性を増大させ, さらに大きな代謝異常へと続く悪循環が言われている. このような状態にある症例に対して, 積極的にインスリン治療を行うことにより, 可逆的な代謝異常が改善されることが考えられる. しかし, 代謝状態の急変は, 生体にマイナスをもたらすことも考えられ, そのプロセスをコントロールしていくことが重要であると考えられる. その第一歩として, 当院でインスリン治療を行った8症例について新しい記述手段を提案し, 各症例の実際の治療と, コントロールプロセスの関係を検討した. その結果, 全く異なる8症例が同一経路により正常状態へ近づくこと, 及び治療パターンの違いが, 改善速度と最終的な改善度に影響を与えることが示唆された. (平成3年12月26日採用) はじめに インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)の基本的な異常として, インスリン分泌障害1)~3)とインスリン感受性の低下4)がともに存在し, インスリンの分泌障害が引き起こす代謝異常が, さらにインスリンの感受性の低下を引き起こし, インスリンの需要の増加は膵B細胞の疲弊を引き起こす悪循環が存在する.
ISSN:0386-5924