急性肝不全における脳波所見および脳内モノアミン代謝に及ぼすThyrotropin Releasing Hormone (TRH)の影響

Thyrotropin Releasing Hormone (TRH)は,神経伝達物質または調整物質としての機能を有し,意識レベルの調節に関与すると推定されている.本研究では,TRHをD-galactosamine家兎急性肝不全モデルに投与した際の脳症覚醒効果ならびに脳内モノアミン代謝に対する影響を検討した.脳症発現後からTRHを0.4mg/kg/2時間持続投与すると9例中5例で高振幅徐波の消失など脳波所見ならびに行動面での改善が認められた.この際,中脳・橋・延髄において,Noradrenaline (NA), Dopamine (DA)濃度はTRH投与の有無にかかわらず著減を示したが,DA,...

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Published in肝臓 Vol. 25; no. 9; pp. 1104 - 1109
Main Authors 辻井, 正, 福井, 博, 高谷, 章, 山尾, 純一, 花田, 一宏, 伊藤, 秀次, 高木, 正博, 本田, 泰啓, 喜多, 公雄, 西田, 師子, 北神, 敬司, 松本, 元嗣, 松村, 吉庸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.09.1984
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.25.1104

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Summary:Thyrotropin Releasing Hormone (TRH)は,神経伝達物質または調整物質としての機能を有し,意識レベルの調節に関与すると推定されている.本研究では,TRHをD-galactosamine家兎急性肝不全モデルに投与した際の脳症覚醒効果ならびに脳内モノアミン代謝に対する影響を検討した.脳症発現後からTRHを0.4mg/kg/2時間持続投与すると9例中5例で高振幅徐波の消失など脳波所見ならびに行動面での改善が認められた.この際,中脳・橋・延髄において,Noradrenaline (NA), Dopamine (DA)濃度はTRH投与の有無にかかわらず著減を示したが,DA, Serotonine代謝物のHVA, 5-HIAA濃度はTRH投与群で有意の増加を示した.またTRH反応例は無反応例に比して中脳NA, HVAが有意に高値を示しだことから,TRHの作用はNA, DAニューロン系と密接な関係にあり,DAニューロン系の賦活化がその覚醒機序の本態であることが示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.25.1104