治療に難渋した緑膿菌による化膿性膝関節炎の1例

「はじめに」緑膿菌は病原性が弱く, 重篤な症状を招くことは少ないが種々の抗生物質に対し抵抗性を有し今日, 菌交代症の主役をなすと言われている. 今回我々は約3ケ月半鎮静化が得られず排膿が続く緑膿菌による化膿性膝関節炎に対する治療を経験したので報告する. 「症例」症例:72歳, 男性 主訴:右膝関節の腫脹, 疼痛 現病歴:ナタで右膝を約5cm切ったため近医にて洗浄, 縫合された. 約1ケ月半頃より右膝の発赤, 腫脹が出現. 同医にて膝関節切開, 洗浄後閉鎖し抗生物質投与された. その後も発赤, 腫脹続くため間欠的に穿刺, 洗浄を受けた. 縫合部に瘻孔が形成され排膿が続くため当科へ紹介初診となった...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 50; no. 2; pp. 521 - 525
Main Authors 浪平辰州, 前田和徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2001
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Summary:「はじめに」緑膿菌は病原性が弱く, 重篤な症状を招くことは少ないが種々の抗生物質に対し抵抗性を有し今日, 菌交代症の主役をなすと言われている. 今回我々は約3ケ月半鎮静化が得られず排膿が続く緑膿菌による化膿性膝関節炎に対する治療を経験したので報告する. 「症例」症例:72歳, 男性 主訴:右膝関節の腫脹, 疼痛 現病歴:ナタで右膝を約5cm切ったため近医にて洗浄, 縫合された. 約1ケ月半頃より右膝の発赤, 腫脹が出現. 同医にて膝関節切開, 洗浄後閉鎖し抗生物質投与された. その後も発赤, 腫脹続くため間欠的に穿刺, 洗浄を受けた. 縫合部に瘻孔が形成され排膿が続くため当科へ紹介初診となった. 既往歴, 家族歴:特記事項無し. 初診時現症:体温38.5℃右膝関節の疼痛強く顔貌は苦悶状を呈していた. 約lcm径の瘻孔より淡緑色の排膿あり. 入院時所見:白血球は9500/mm3, 赤沈値は73mm/1hr, CRPは19.5mg/dlと亢進していた. 前医での転院直前の培養検査で緑膿菌が検出され感受性はセフタジジム, アズトレオナム, スルバクタム/セフォペラゾンなどにみられた.
ISSN:0037-1033