頭蓋内進展をきたしたOlfactory Neuroblastomaの2例

Olfactory neuroblastomaは, 鼻腔内に発生する比較的まれな悪性腫瘍である6). その起源は鼻腔最上部の嗅上皮のstem cellとされており, しばしば一側の鼻閉や鼻出血をきたし耳鼻科で発見されることが多い8, 15). しかし, この腫瘍は緩徐ながら破壊的に増大し, 副鼻腔や眼窩, さらに頭蓋内へ進展し, 前頭蓋底の腫瘍として脳神経外科的治療の対象となることもある. このような場合, 頭蓋内および鼻腔内の両方からの手術を要し, また術後放射線療法も必要となることなどから, 術前の放射線学的検査による正確な部位診断が特に重要となる. 最近我々は前頭蓋底のolfactory...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 29; no. 10; pp. 902 - 907
Main Authors 市川正春, 中澤拓也, 新阜宏文, 松田昌之, 半田譲二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1989
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ISSN0470-8105

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Summary:Olfactory neuroblastomaは, 鼻腔内に発生する比較的まれな悪性腫瘍である6). その起源は鼻腔最上部の嗅上皮のstem cellとされており, しばしば一側の鼻閉や鼻出血をきたし耳鼻科で発見されることが多い8, 15). しかし, この腫瘍は緩徐ながら破壊的に増大し, 副鼻腔や眼窩, さらに頭蓋内へ進展し, 前頭蓋底の腫瘍として脳神経外科的治療の対象となることもある. このような場合, 頭蓋内および鼻腔内の両方からの手術を要し, また術後放射線療法も必要となることなどから, 術前の放射線学的検査による正確な部位診断が特に重要となる. 最近我々は前頭蓋底のolfactory neuroblastomaの2例を経験したので, 放射線学的考察を中心に報告する. 症例 〈症例1〉56才, 男性 主訴:自発性低下, 頭痛, 嘔吐 現病歴:1987年10月下旬頃より鼻根部の腫脹および鼻出血がみられ, 徐々に悪化したが放置していた. 11月中旬より自発性低下, 時に頭痛・嘔吐を呈するようになったため脳神経外科を受診し, 頭部CTで脳腫瘍を指摘され入院となった.
ISSN:0470-8105