当院における高齢透析患者への対応

高齢透析患者および高齢導入患者が年々増加する中で, 高齢外来透析患者の聞き取り調査で実態を把握し, 今後どのような援助が必要か検討した. 三愛病院の全透析患者226名中, 高齢透析患者は34名で, そのうち20名が入院患者である. 入院理由として, 患者に退院する意志がない, 家族に介護者がいない, 遠距離のため交通費の負担が大きいなどで, これらに合併症等の問題が複雑にからみ合い外来通院を困難なものにしている. 一方, 14名の外来患者の状況をみると, 動ける限りは通院する意欲があり, ほとんどの患者には配偶者がおり家族と同居し家族の一員としての役割をもち, 家族のために役立っている. 通院...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 23; no. 10; pp. 1109 - 1112
Main Authors 佐々木, いく, 遠藤, ミネ子, 返田, 英子, 細川, 久昭, 岩沢, 恵美子, 上林, 多代, 長根, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.10.1990
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.23.1109

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Summary:高齢透析患者および高齢導入患者が年々増加する中で, 高齢外来透析患者の聞き取り調査で実態を把握し, 今後どのような援助が必要か検討した. 三愛病院の全透析患者226名中, 高齢透析患者は34名で, そのうち20名が入院患者である. 入院理由として, 患者に退院する意志がない, 家族に介護者がいない, 遠距離のため交通費の負担が大きいなどで, これらに合併症等の問題が複雑にからみ合い外来通院を困難なものにしている. 一方, 14名の外来患者の状況をみると, 動ける限りは通院する意欲があり, ほとんどの患者には配偶者がおり家族と同居し家族の一員としての役割をもち, 家族のために役立っている. 通院手段は, バス, 電車, タクシーの利用, あるいは家族が車で送迎している. 費用, 時間とも幅があり, 遠距離のため自宅をひき払い, 病院の近くに越して来た患者もいる. 全盲の患者も家族の介護を得て, 通院している. 外来透析を続ける上で, 患者の意欲と家族の協力が最も大切である. 岩手県北部に透析施設が少ないため, 冬期入院や経済的負担による社会的入院が多いのも特徴である. 高齢者の長期入院は, 外来通院への意欲低下, 体力, 運動機能の低下, 痴呆などの弊害を引き起こすため, 家族の温かい介護の中で, 外来通院出来るよう援助が必要である. その方法として, 1. 家族指導を加えた導入時のチェックリストの改善, 2. 連絡ノートの作成, 3. 連絡ノートに関連した訪問看護の実施, 4. 病院の送迎バスの距離や範囲の拡大の検討等を行った.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.23.1109