埼玉県長瀞地域に分布する泥質•砂質片岩中の酸化鉱物および硫化鉱物

長瀞地域における三波川変成帯中の泥質および砂質片岩中にみいだされる酸化鉱物•硫化鉱物の組み合せは岩石中に炭質物を含むか否かによりいちじるしく異る。すなわち,炭質物を含む岩石には含マンガンチタン鉄鉱•磁硫鉄鉱•黄鉄鉱が, 炭質物を含まない岩石中には赤鉄鉱が特徴的に現出し, 黄銅鉱•酸化チタン鉱物は両者に共通してみいだされる。これらの岩石の変成温度を350°Cと仮定して,酸化鉱物•硫化鉱物の平衡関係から変成時の酸素および硫黄のフュガシティーを計算により求めると, 炭質物を含む岩石では、ƒO2=10-31atm, ƒS2=10-9atm,炭質物を含まない岩石ではƒO2=10-16~10-28atm,...

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Published in岩石鉱物鉱床学会誌 Vol. 70; no. 12; pp. 413 - 423
Main Authors 板谷, 徹丸, 田中, 耕平, 鞠子, 正
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本鉱物科学会 05.12.1975
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ISSN0021-4825
1883-0765
DOI10.2465/ganko1941.70.413

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Summary:長瀞地域における三波川変成帯中の泥質および砂質片岩中にみいだされる酸化鉱物•硫化鉱物の組み合せは岩石中に炭質物を含むか否かによりいちじるしく異る。すなわち,炭質物を含む岩石には含マンガンチタン鉄鉱•磁硫鉄鉱•黄鉄鉱が, 炭質物を含まない岩石中には赤鉄鉱が特徴的に現出し, 黄銅鉱•酸化チタン鉱物は両者に共通してみいだされる。これらの岩石の変成温度を350°Cと仮定して,酸化鉱物•硫化鉱物の平衡関係から変成時の酸素および硫黄のフュガシティーを計算により求めると, 炭質物を含む岩石では、ƒO2=10-31atm, ƒS2=10-9atm,炭質物を含まない岩石ではƒO2=10-16~10-28atm, ƒS2>10-19atmとなる。前者の酸素フュガシティーが後者のそれと比較していちじるしく低いのは炭質物酸素に対する緩働作用にもとづくものと考えられる。また変成時の圧力をPsolid=Pgas=5×103atmと仮定して,炭質物を含む岩石の変成時における種々のガス相の分圧を計算すると、PCO2=2×102, PCO=3×10-2, PH2=3×100, PH2O=45×102, PCH4=3×102, PH2S=2×101, PSO2=2×10-8, PO2=1×10-31, PS2=1×10-9atmとなり, H2O, CH4, CO2などが主要成分であることがわかる。
ISSN:0021-4825
1883-0765
DOI:10.2465/ganko1941.70.413