パパイン注入による実験的肺気腫作製犬における肺機能及び組織計測の検討 -肺気腫の進行と肺機能の変化との関連を中心として
純粋な気腫性変化と気道抵抗を中心とする肺機能との関係を検討するため, 経気道的にパパイン注入を繰り返して段階的に作製したイヌ肺気腫モデルを用いて, 肺機能と肺組織計測との経時的比較を行なった. 気腫化肺の単位肺体積中の肺胞表面積はパパイン1回注入平均36.2±5.4mm2/mm3, 2回注入平均23.1±5.5mm2/mm3で, 健常肺の平均44.3±5.3mm2/mm3と比べ, パパイン注入の繰り返しで減少することが認められ, 本実験による段階的気腫化の進行が確かめられた. さらに時限肺活量, 残気率, クロージングキャパシティ, He・F-V曲線, 気道抵抗は単位体積中の肺胞表面積と有意な...
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Published in | 日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 26; no. 11; pp. 1161 - 1169 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
社団法人 日本呼吸器学会
25.11.1988
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Subjects | |
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ISSN | 0301-1542 1883-471X |
DOI | 10.11389/jjrs1963.26.11_1161 |
Cover
Summary: | 純粋な気腫性変化と気道抵抗を中心とする肺機能との関係を検討するため, 経気道的にパパイン注入を繰り返して段階的に作製したイヌ肺気腫モデルを用いて, 肺機能と肺組織計測との経時的比較を行なった. 気腫化肺の単位肺体積中の肺胞表面積はパパイン1回注入平均36.2±5.4mm2/mm3, 2回注入平均23.1±5.5mm2/mm3で, 健常肺の平均44.3±5.3mm2/mm3と比べ, パパイン注入の繰り返しで減少することが認められ, 本実験による段階的気腫化の進行が確かめられた. さらに時限肺活量, 残気率, クロージングキャパシティ, He・F-V曲線, 気道抵抗は単位体積中の肺胞表面積と有意な相関を認め, これらが気腫化の進行と対応して変化しうることが示唆された. 特に気道抵抗の段階的上昇は残気量, 残気率, 静肺コンプライアンスの変化と並行し, CC/TLC, FEV1.0%, V25,ΔV50,ΔV25等の変化と関連し, これが純粋な気腫化に際して出現しうる可能性が明らかとなった. |
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ISSN: | 0301-1542 1883-471X |
DOI: | 10.11389/jjrs1963.26.11_1161 |