透析療法開始後の尿量
血液透析の開始と共に尿量は一般に急速に減少して無尿に至るが, これは言わば不可避的な経過である. しかし, これには個人差が大きい. 自験95例を5-10年間観察した成績では, 透析期間が2年以上を過ぎると尿量500ml/日以上の症例は激減し6年以上で皆無となる. 7年以上の透析患者はすべて1日尿量が100ml内外である. 尿量の激減は導入直後の短期間に大量除水を要する高度溢水例に一層顕著である. 円滑に計画導入され透析開始後も水分管理が良好で透析間体重増加が適正な症例ほど尿量の減少は遷延する傾向がある. 尿量の維持は患者の心理面へ良好な影響を与えるのみならず, 200ml/日以上の尿量は低分...
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Published in | 日本透析療法学会雑誌 Vol. 23; no. 11; pp. 1275 - 1279 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本透析医学会
28.11.1990
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Subjects | |
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ISSN | 0911-5889 1884-6211 |
DOI | 10.4009/jsdt1985.23.1275 |
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Summary: | 血液透析の開始と共に尿量は一般に急速に減少して無尿に至るが, これは言わば不可避的な経過である. しかし, これには個人差が大きい. 自験95例を5-10年間観察した成績では, 透析期間が2年以上を過ぎると尿量500ml/日以上の症例は激減し6年以上で皆無となる. 7年以上の透析患者はすべて1日尿量が100ml内外である. 尿量の激減は導入直後の短期間に大量除水を要する高度溢水例に一層顕著である. 円滑に計画導入され透析開始後も水分管理が良好で透析間体重増加が適正な症例ほど尿量の減少は遷延する傾向がある. 尿量の維持は患者の心理面へ良好な影響を与えるのみならず, 200ml/日以上の尿量は低分子蛋白, 例えばβ2-microglobulin (β2-MG) の血清レベルを低値に抑制する利点もある. 溶質・水分の除去が緩徐かつ持続的に行われるCAPDの方が血液透析に比較して, 透析開始後の尿量維持に, より長期的に有利に働くことも明らかにしえた. |
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ISSN: | 0911-5889 1884-6211 |
DOI: | 10.4009/jsdt1985.23.1275 |