遠位弓部大動脈瘤術後9年目の吻合部仮性大動脈瘤に対する単純低体温逆行性脳灌流による下行置換術
症例は77歳,男性.主訴は喀血.既往歴に遠位弓部大動脈瘤で平成3年に胸骨正中切開でinclusion法にて3分枝付き人工血管で弓部全置換術を受けている.造影CTでは末梢の吻合部に径5cmの瘤を人工血管と瘤壁の間に認めた.手術は平成12年11月24日左第4肋間開胸で入った.瘤の癒着は高度で瘤の中枢側の剥離,遮断は困難なため,F-Fバイパスで直腸温18℃まで冷却し,高本法による単純低体温逆行性脳灌流を補助手段とし,前回の3分枝付き人工血管の末梢側を血管の内側からはずして1分枝付き人工血管と吻合した.逆行性脳灌流時間は16分であった.冷却に57分,加温に1時間52分要したが術中の出血は少なく脳合併症...
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Published in | 日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 31; no. 4; pp. 311 - 313 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
15.07.2002
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Subjects | |
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ISSN | 0285-1474 1883-4108 |
DOI | 10.4326/jjcvs.31.311 |
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Summary: | 症例は77歳,男性.主訴は喀血.既往歴に遠位弓部大動脈瘤で平成3年に胸骨正中切開でinclusion法にて3分枝付き人工血管で弓部全置換術を受けている.造影CTでは末梢の吻合部に径5cmの瘤を人工血管と瘤壁の間に認めた.手術は平成12年11月24日左第4肋間開胸で入った.瘤の癒着は高度で瘤の中枢側の剥離,遮断は困難なため,F-Fバイパスで直腸温18℃まで冷却し,高本法による単純低体温逆行性脳灌流を補助手段とし,前回の3分枝付き人工血管の末梢側を血管の内側からはずして1分枝付き人工血管と吻合した.逆行性脳灌流時間は16分であった.冷却に57分,加温に1時間52分要したが術中の出血は少なく脳合併症も認めなかった. |
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ISSN: | 0285-1474 1883-4108 |
DOI: | 10.4326/jjcvs.31.311 |