新しいムンプスウイルスIgM検出EIA試薬の評価について
「抄録」ムンプスウイルスは, 流行性耳下腺炎の原因ウイルスであり, 無菌性髄膜炎, 難聴, 膵炎, 睾丸炎, 卵巣炎を併発することも少なからずあり, 多彩な臨床症状を呈する. ムンプスウイルス感染症の確診には, 保険診療の制約により, EIA法による抗ムンプスウイルスIgMの検出のみを実施することが多いが, 健常人において抗ムンプスウイルスIgM抗体陽性例が観察されることや, ムンプスウイルス感染症回復後の長期にわたる抗体陽性者の存在が観察され, 困惑をきたす例が報告されていた. 今回検討したデンカ生研製の新しい抗ムンプスIgM型抗体検出キット(ウイルス抗体EIA「生研」ムンプスIgM(II)...
Saved in:
Published in | 川崎医学会誌 Vol. 35; no. 2; pp. 139 - 145 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
川崎医学会
2009
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-5924 |
Cover
Loading…
Summary: | 「抄録」ムンプスウイルスは, 流行性耳下腺炎の原因ウイルスであり, 無菌性髄膜炎, 難聴, 膵炎, 睾丸炎, 卵巣炎を併発することも少なからずあり, 多彩な臨床症状を呈する. ムンプスウイルス感染症の確診には, 保険診療の制約により, EIA法による抗ムンプスウイルスIgMの検出のみを実施することが多いが, 健常人において抗ムンプスウイルスIgM抗体陽性例が観察されることや, ムンプスウイルス感染症回復後の長期にわたる抗体陽性者の存在が観察され, 困惑をきたす例が報告されていた. 今回検討したデンカ生研製の新しい抗ムンプスIgM型抗体検出キット(ウイルス抗体EIA「生研」ムンプスIgM(II))は, 「IgMキャプチャー法」を測定原理としており, 操作再現性は高いものであった. 健常者でのIgM抗体陽性率は, 0.3%(1/336)と改善し, ムンプスウイルス感染症とウイルス学的に確診された症例では, IgM抗体陽性率は, 92.1%(128/139)であった. また, ムンプスウイルス感染症発症後, 5ヵ月以上経過した症例については, IgM抗体陽性と判定されるものは存在しなかった. このことから, 今回検討したEIAキットは, 現在提起がされた問題を解決し, ムンプスウイルス感染症の診断を正確にするだけでなく, ムンプスウイルスの血清疫学に寄与するツールとなりうると思われる. |
---|---|
ISSN: | 0386-5924 |