評価的判断が記憶成績に与える影響 自己参照と社会的参照に注目して

本研究では, Ferguson, Rule, & Carson (1983) の評価的判断が自己参照, 社会的参照における記憶促進に重要な役割を果たしているという説をより詳細に検討した。検討のために, 評価的判断を要求する課題である個人的好き嫌い評定課題と社会的好ましさ評定課題を用いた。実験1では2つの課題の記憶促進の程度を自由再生によって比較した結果, 記憶成績に差はなかった。この結果は, Ferguson et al. (1983) を支持していた。実験2, 3では, 課題の参照対象が同じために同じ程度の記憶成績になった可能性を検討するために, 両課題の参照対象を比較した。実験2で...

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Published in実験社会心理学研究 Vol. 37; no. 1; pp. 14 - 22
Main Author 岡田, 圭二
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本グループ・ダイナミックス学会 30.06.1997
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ISSN0387-7973
1348-6276
DOI10.2130/jjesp.37.14

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Summary:本研究では, Ferguson, Rule, & Carson (1983) の評価的判断が自己参照, 社会的参照における記憶促進に重要な役割を果たしているという説をより詳細に検討した。検討のために, 評価的判断を要求する課題である個人的好き嫌い評定課題と社会的好ましさ評定課題を用いた。実験1では2つの課題の記憶促進の程度を自由再生によって比較した結果, 記憶成績に差はなかった。この結果は, Ferguson et al. (1983) を支持していた。実験2, 3では, 課題の参照対象が同じために同じ程度の記憶成績になった可能性を検討するために, 両課題の参照対象を比較した。実験2では, 同じ単語を両課題により評定した。その結果, 評定値の相関係数は低かった。実験3では, 同じ参照対象に連続して参照するならば, 促進効果が現れるという考えに基づいている課題促進パラダイムを用いた比較を行った。その結果, 同じ課題を連続して行った場合にのみ, 促進効果が現れた。実験2, 3より, 個人的好き嫌い評定課題と社会的好ましさ評定課題の参照対象は異なることが示唆された。これらの結果より, 自己, 社会的基準それぞれの評価的側面が記憶成績の促進に影響していると考えられる。
ISSN:0387-7973
1348-6276
DOI:10.2130/jjesp.37.14