マルチ呼吸機能測定装置 (FB-8010(R)) を用いた気道狭窄の評価

「要約」 - 「背景.」高度の気道狭窄では気流制限による呼吸困難や, 換気・血流不均衡による呼吸不全を来す. 我々は以前から呼吸器インターベンションにおける局所肺機能の評価の重要性を報告してきた. 2020年1月にマルチ呼吸機能測定装置 (FB-8010(R)) が医療機器として認証された. 「目的.」気道狭窄症例に対し, 気管支鏡下にマルチ呼吸機能測定装置で気流制限と換気・血流不均衡を評価した. 「方法.」ダブルルーメンカテーテルで2か所の気道内圧を同時に測定し, 2点間の圧較差を計算した. さらに2か所の気道内圧から圧圧曲線を描出し, 吸気と呼気のピークを結んだ線と基線でできる角度を計測し...

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Published in気管支学 Vol. 45; no. 2; pp. 82 - 88
Main Authors 西根広樹, 平本雄彦, 松澤慎, 木田博隆, 半田寛, 丸田勝弘, 井上健男, 宮澤輝臣, 峯下昌道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 25.03.2023
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ISSN0287-2137

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Summary:「要約」 - 「背景.」高度の気道狭窄では気流制限による呼吸困難や, 換気・血流不均衡による呼吸不全を来す. 我々は以前から呼吸器インターベンションにおける局所肺機能の評価の重要性を報告してきた. 2020年1月にマルチ呼吸機能測定装置 (FB-8010(R)) が医療機器として認証された. 「目的.」気道狭窄症例に対し, 気管支鏡下にマルチ呼吸機能測定装置で気流制限と換気・血流不均衡を評価した. 「方法.」ダブルルーメンカテーテルで2か所の気道内圧を同時に測定し, 2点間の圧較差を計算した. さらに2か所の気道内圧から圧圧曲線を描出し, 吸気と呼気のピークを結んだ線と基線でできる角度を計測した. また, シングルルーメンカテーテルで目標部位での酸素分圧, 二酸化炭素分圧を測定した. 「結果.」気道狭窄部位で圧較差が生じ, 圧圧曲線の角度は小さくなった. ステント留置で気流制限が解除されると圧較差は消失し, 圧圧曲線の角度は45度に近づいた. また気管支が高度に狭窄している側では, 健側と比べて酸素分圧の波形の基線が低く推移したが, 二酸化炭素分圧は左右の気管支で大きな差はみられなかった. 治療で気道が開存すると, 酸素分圧の波形の基線は左右差がほぼ消失した. 「結論.」マルチ呼吸機能測定装置は, 気管支鏡下に局所肺機能が評価できる新しい医療機器である. 気道内圧と酸素分圧, 二酸化炭素分圧の測定で病態の把握, 治療の効果判定をリアルタイムに評価できた.
ISSN:0287-2137