自宅復帰困難な後遺症を呈する脳卒中の維持期 (生活期) における緩和と療養に関する提言

「1. はじめに」 脳卒中は, わが国において死亡原因の第4位を占め, 全介助状態に相当するいわゆる寝たきり(要介護5)になる原因としては第1位の疾患である. 脳卒中の発症に対して, 急性期治療および回復期リハビリテーションを行っても, 重度の後遺障害により自宅への退院が困難となることも少なくない. その場合, 患者とその家族等加は, 突然の発症に対する戸惑い, 重度の後遺障害により自宅での生活が不可能になったことへの悲しみ, 将来への不安など様々な悩みや苦しみを感じることになる. とりわけ, 意識障害や高次脳機能障害により, 患者本人による意思決定が極めて困難か不可能な場合で, アドバンス・...

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Published in脳卒中 Vol. 44; no. 6; pp. 671 - 679
Main Author 一般社団法人日本脳卒中学会
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳卒中学会 25.11.2022
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Summary:「1. はじめに」 脳卒中は, わが国において死亡原因の第4位を占め, 全介助状態に相当するいわゆる寝たきり(要介護5)になる原因としては第1位の疾患である. 脳卒中の発症に対して, 急性期治療および回復期リハビリテーションを行っても, 重度の後遺障害により自宅への退院が困難となることも少なくない. その場合, 患者とその家族等加は, 突然の発症に対する戸惑い, 重度の後遺障害により自宅での生活が不可能になったことへの悲しみ, 将来への不安など様々な悩みや苦しみを感じることになる. とりわけ, 意識障害や高次脳機能障害により, 患者本人による意思決定が極めて困難か不可能な場合で, アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning: ACP)が示されない時は, 家族等から発症前の患者本人の意思や家族等の意向について聴き取り, 今後の医療やケアの方針を相談・決定していかなければならない.
ISSN:0912-0726