骨盤骨折の手術経験

骨盤骨折14例に対し観血的治療を行った. 骨盤輪のみの骨折は3例, 寛骨臼骨折を含むものが11例であった. 骨盤骨折の治療は保存的治療か, 観血的治療を行うべきか議論がわかれるところであるが, 手術症例は非手術症例と比較し, 早期離床が可能であり, 特に寛骨臼を含む骨折は解剖学的整復が必要で, 手術以外での完全な整復は不可能である. 全身状態, 手術器具などの条件がそろえばなるべく早期に手術的治療を行うべきであると考えている. (平成元年6月19日採用)「はじめに」高エネルギー外傷による骨盤骨折の死亡率は治療法の改善にもかかわらず, いまだ約lO%といわれている. 最近の諸家の報告では長管骨骨...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 15; no. 3; pp. 462 - 466
Main Authors 奥坊康士, 山野慶樹, 井上雅之, 安藤則行, 渡辺良
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1989
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Summary:骨盤骨折14例に対し観血的治療を行った. 骨盤輪のみの骨折は3例, 寛骨臼骨折を含むものが11例であった. 骨盤骨折の治療は保存的治療か, 観血的治療を行うべきか議論がわかれるところであるが, 手術症例は非手術症例と比較し, 早期離床が可能であり, 特に寛骨臼を含む骨折は解剖学的整復が必要で, 手術以外での完全な整復は不可能である. 全身状態, 手術器具などの条件がそろえばなるべく早期に手術的治療を行うべきであると考えている. (平成元年6月19日採用)「はじめに」高エネルギー外傷による骨盤骨折の死亡率は治療法の改善にもかかわらず, いまだ約lO%といわれている. 最近の諸家の報告では長管骨骨折に対する考え方と同様, 骨盤骨折に対しても, なるべく早期に観血的整復し, 強固な内固定を行うべぎであるという意見が多くなりつつある. 我々も昭和56年以降は患者の全身状態, 合併損傷, 骨折型に応じて積極的に手術治療を行ってきた. 対象 症例は14例で, 男12例, 女2例, 平均年齢は41.3歳であり, 受傷原因としては, 交通事故が11例, 産業事故が3例である.
ISSN:0386-5924