中葉完全無気肺を呈した気道異物 (魚骨) の1例

「要約」 - 「背景.」異物が気道内に長期間留まると, 周囲に肉芽形成をきたし, 異物の摘出に難渋することがある. 「症例.」78歳男性. 脳梗塞に対し抗凝固薬内服を開始した3カ月後より血痰を認め, 前医を受診した. 胸部CT, 喀痰検査で異常を指摘されず経過観察となった. 2カ月後, 血痰の再燃が認められ, CTで中葉完全無気肺が認められた. 抗菌薬で無気肺の改善が認められないため, 当科紹介となった. 前医で初回撮影されたCTで中葉支入口部近傍に高吸収値を呈した線状陰影を認め, 気道異物を疑い気管支鏡検査を施行した. 気管支鏡で観察すると, 右中間幹から中葉支入口部に白色扁平な異物を認め,...

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Published in気管支学 Vol. 44; no. 1; pp. 73 - 78
Main Authors 今林宏樹, 星野英久, 太枝帆高, 黄英哲, 関根康雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2022
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ISSN0287-2137

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Summary:「要約」 - 「背景.」異物が気道内に長期間留まると, 周囲に肉芽形成をきたし, 異物の摘出に難渋することがある. 「症例.」78歳男性. 脳梗塞に対し抗凝固薬内服を開始した3カ月後より血痰を認め, 前医を受診した. 胸部CT, 喀痰検査で異常を指摘されず経過観察となった. 2カ月後, 血痰の再燃が認められ, CTで中葉完全無気肺が認められた. 抗菌薬で無気肺の改善が認められないため, 当科紹介となった. 前医で初回撮影されたCTで中葉支入口部近傍に高吸収値を呈した線状陰影を認め, 気道異物を疑い気管支鏡検査を施行した. 気管支鏡で観察すると, 右中間幹から中葉支入口部に白色扁平な異物を認め, 周囲は肉芽形成をきたし, 中葉支入口部は完全閉塞していた. 生検鉗子で異物を把持すると可動性が得られ, 容易に異物を摘出できた. 摘出異物は魚骨であった. 肉芽による中葉支入口部完全閉塞に対する処置は行わず, トラニラストの内服を開始し経過観察の方針とした. 異物摘出1カ月後の胸部X線で中葉に含気を認め, 3カ月後のCTで中葉完全無気肺は軽快した. 「結語.」CT上, 異物の気道壁への陥入は軽度と考えられたため, 生検鉗子で把持後, そのまま異物を摘出した. 肉芽による中葉支入口部の完全閉塞を認めたが, 異物除去に伴う肉芽の消退を期待し処置は行わず, トラニラストの内服を開始し中葉完全無気肺は軽快した.
ISSN:0287-2137