家族性lecithin: cholesterol acyltransferase (LCAT)欠損症にみられた中間リポ蛋白の水解の障害について

本邦第5家系目の家族性レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症患者の血中には,中間リポ蛋白(IDL)が存在していた, IDLを放射性トリオレイン(14C-triolein)でラベルし,これを基質として肝性リパーゼを作用させた時,正常人の食後血清から得たIDLを同様な方法で調製した基質に比較して,中性脂肪の水解の低下がみられた.この反応系に正常人血清を添加した時,水解の亢進がみられたが,同時に5, 5′-Dithiobis-(2-nitrobenzoic acid) (DTNB)を加えた時には水解の亢進はみられなかつた.以上のことより本症例におけるIDLの出現は, LCAT欠損による...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 76; no. 1; pp. 123 - 127
Main Authors 太田, 義章, 山本, 駿一, 土田, 弘基, 吉田, 尚, 斎藤, 康, 村野, 俊一, 白井, 厚治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1987
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.76.123

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Summary:本邦第5家系目の家族性レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症患者の血中には,中間リポ蛋白(IDL)が存在していた, IDLを放射性トリオレイン(14C-triolein)でラベルし,これを基質として肝性リパーゼを作用させた時,正常人の食後血清から得たIDLを同様な方法で調製した基質に比較して,中性脂肪の水解の低下がみられた.この反応系に正常人血清を添加した時,水解の亢進がみられたが,同時に5, 5′-Dithiobis-(2-nitrobenzoic acid) (DTNB)を加えた時には水解の亢進はみられなかつた.以上のことより本症例におけるIDLの出現は, LCAT欠損によるIDL粒子の構成成分の変化,特にフリーコレステロールの増加がその-因となつていることが推測された.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.76.123