血腫内容から腫瘍細胞を検出した胃癌転移による慢性硬膜下血腫の1例
非外傷性硬膜下血腫の原因として, 悪性腫瘍の硬膜転移がまれながら報告されている1-7, 9-21). 我々は, 胃癌摘出15ヵ月後に発症した非外傷性慢性硬膜下血腫で, 術中採取した血腫内容から転移性腫瘍と診断しえた1例を経験した. 今日までの本疾患, の報告例28例に我々の症例を加えて, 主としてその発生機序について考察を加えた. 症例 <患者>43才, 男性 主訴:意識障害, 右片麻痺 既往歴:1983年5月16日, 他院で胃癌に対して胃亜全摘出術を受け, 同年9月より翌1984年6月まで島根県立中央病院内科で5-FUを外来投与された. 病理診断は腺癌で, 腹腔内リンパ節に転移が...
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Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 27; no. 9; pp. 892 - 898 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経外科学会
1987
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ISSN | 0470-8105 |
Cover
Summary: | 非外傷性硬膜下血腫の原因として, 悪性腫瘍の硬膜転移がまれながら報告されている1-7, 9-21). 我々は, 胃癌摘出15ヵ月後に発症した非外傷性慢性硬膜下血腫で, 術中採取した血腫内容から転移性腫瘍と診断しえた1例を経験した. 今日までの本疾患, の報告例28例に我々の症例を加えて, 主としてその発生機序について考察を加えた. 症例 <患者>43才, 男性 主訴:意識障害, 右片麻痺 既往歴:1983年5月16日, 他院で胃癌に対して胃亜全摘出術を受け, 同年9月より翌1984年6月まで島根県立中央病院内科で5-FUを外来投与された. 病理診断は腺癌で, 腹腔内リンパ節に転移があった. 現病歴:1984年8月14日頃より腰痛を訴え, 8月29日, 当院内科に入院した. 内科入院後, 頭痛を訴え, 不穏興奮状態となり, 尿失禁, 右片麻痺が出現し, 急速に意識レベルが低下した. 9月3日のCTで硬膜下血腫と診断され, 脳神経外科へ転科した. |
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ISSN: | 0470-8105 |