Peltier stackを用いたthermal diffusion法による連続的脳血流測定の試み

組織血流量測定の一方法であるthermal diffusion法1, 2, 7-9)は, 血流の変化を定性的に捉えるには有効な手段であるが変化を定量的に論ずるのは困難である. 1968年Brawley 3)は, thermal diffusion法のprobeにPeltier stackを用いると, 安定した記録が可能であることを初めて発表した. その後, Carterらが改良を加え実験を重ねた結果, probeにPeltier stackを利用したthermal diffusion法は記録の安定性がきわめて良く, 定量化が十分可能であることが判ってきた4-6). 本邦でもすでに山形ら11)の...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 27; no. 8; pp. 724 - 728
Main Authors 甲州啓二, 広田茂, 園部真, 高橋慎一郎, 高久晃, 斉藤建夫, 牛島豊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1987
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Summary:組織血流量測定の一方法であるthermal diffusion法1, 2, 7-9)は, 血流の変化を定性的に捉えるには有効な手段であるが変化を定量的に論ずるのは困難である. 1968年Brawley 3)は, thermal diffusion法のprobeにPeltier stackを用いると, 安定した記録が可能であることを初めて発表した. その後, Carterらが改良を加え実験を重ねた結果, probeにPeltier stackを利用したthermal diffusion法は記録の安定性がきわめて良く, 定量化が十分可能であることが判ってきた4-6). 本邦でもすでに山形ら11)の報告があり, 連続的血流測定のシステムとして, 本法は今後大いに利用されるものと思われる. ところで, 使用するprobeはあらかじめcalibrationを行っておく必要がある. 具体的には動物実験により行うのであるが, これまでのcalibration法では心停止状態のデータが必要なため, どうしても最後に動物を屠殺する必要があった. 我々は, 心停止状態のデータを用いないでcalibrationを行う簡便法を追求してきたが, ある程度の誤差を容認すればなんとか応用可能なcalibration法のあることが判った. 今回は, 我々の考案したcalibration法を紹介するとともに, Peltier stackを利用したthermal diffusion法について若干の考察を加える.
ISSN:0470-8105