院内発症例にみる脳卒中発症の臨床的検討 とくに血圧の変動と脳血栓症

1971年から1983年までに当科入院中に発症した脳卒中症例は23例であった.脳血栓症と診断されたのは13例で, これらのうち発症前の血圧変動を観察できた12例につき脳血栓症の発症要因を検討した.なお高血圧の診断基準として血圧値・眼底所見・心電図所見などからなるmean scoring pointsを用いた. 高血圧者6例中4例で発症前に降圧療法により平均血圧で33~69mmHg (220/120mmHgから140/80mmHgへ) の血圧下降を認めた.そのうちの2例では-33mmHg/1ヵ月, -66mmHg/2ヵ月と比較的緩徐な降圧であった.正常血圧者では, 心不全により血圧が低下した1例...

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Published in脳卒中 Vol. 7; no. 3; pp. 240 - 247
Main Authors 八尾, 博史, 佐渡島, 省三, 藤島, 正敏, 塩川, 宰, 藤井, 健一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.06.1985
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.7.240

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Summary:1971年から1983年までに当科入院中に発症した脳卒中症例は23例であった.脳血栓症と診断されたのは13例で, これらのうち発症前の血圧変動を観察できた12例につき脳血栓症の発症要因を検討した.なお高血圧の診断基準として血圧値・眼底所見・心電図所見などからなるmean scoring pointsを用いた. 高血圧者6例中4例で発症前に降圧療法により平均血圧で33~69mmHg (220/120mmHgから140/80mmHgへ) の血圧下降を認めた.そのうちの2例では-33mmHg/1ヵ月, -66mmHg/2ヵ月と比較的緩徐な降圧であった.正常血圧者では, 心不全により血圧が低下した1例を除けば, 発症前の血圧変動は±10mmHg以内であった. 高血圧者においては脳血栓症の発症要因の1つとして血圧下降という血行動態上の問題が重要であり, 過剰な降圧療法に対する注意が必要であると考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.7.240