離島の医療機関が, 海を越えた別の離島の医療機関に対して血液緊急融通を行う運用の研究 (喜界島血液緊急融通)
奄美大島は鹿児島市から南に380km離れた場所に位置し, 喜界島は更に20km離れた距離にある. 輸血用血液製剤は奄美大島, 喜界島ともに鹿児島市から民間航空機により搬送される. 日赤へ血液製剤を発注する際には航空機の初便・最終便の時間が製剤到着までの律速段階となり, かつ到着まで最短でも5時間を要する. 我々は血液緊急融通のために奄美大島から喜界島に血液搬送する仕組み「喜界島血液緊急融通」を構築した. 1. 奄美大島から喜界島までの血液緊急搬送に航空機を用いる場合, 2. 患者搬送を前提としてドクターヘリを用いる場合, 3. フェリーを用いる場合の要請可能最終時刻はそれぞれ午前5時35分,...
Saved in:
Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 69; no. 3; pp. 476 - 483 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血・細胞治療学会
26.06.2023
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1881-3011 |
Cover
Summary: | 奄美大島は鹿児島市から南に380km離れた場所に位置し, 喜界島は更に20km離れた距離にある. 輸血用血液製剤は奄美大島, 喜界島ともに鹿児島市から民間航空機により搬送される. 日赤へ血液製剤を発注する際には航空機の初便・最終便の時間が製剤到着までの律速段階となり, かつ到着まで最短でも5時間を要する. 我々は血液緊急融通のために奄美大島から喜界島に血液搬送する仕組み「喜界島血液緊急融通」を構築した. 1. 奄美大島から喜界島までの血液緊急搬送に航空機を用いる場合, 2. 患者搬送を前提としてドクターヘリを用いる場合, 3. フェリーを用いる場合の要請可能最終時刻はそれぞれ午前5時35分, 16時10分, 19時40分でありフェリーを用いる場合が最も有利であった. フェリーとATRを用いた「喜界島血液緊急融通」構築によって緊急時血液入手時間は平時の日勤帯に比較して51%(8.1時間)減少させることが可能となった. |
---|---|
ISSN: | 1881-3011 |