クモ膜下出血にて発症し多発性脳動脈瘤を合併した上矢状静脈洞血栓症の1治験例

頭蓋内静脈洞血栓症は一般に頭蓋内圧亢進症状を呈するが, 閉塞の範囲・部位・速度・側副血行路の程度などにより症状は多彩であり, 出血性梗塞・脳内血腫・脳浮腫・クモ膜下出血を合併すると言われている. しかし, 静脈洞血栓症のクモ膜下出血単独発症例はまれである. 今回我々は, クモ膜下出血にて発症した上矢状静脈洞血栓症に多発性脳動脈瘤を合併したまれな1例を経験したので, その病態, 急性期の治療, および脳動脈瘤に対する手術時期に関して若干の考察を加え報告する. 症例 <患者>48才, 女性 主訴:頭痛, 嘔吐, 意識障害 既往歴:高血圧以外に特記すべきことなし. 経口避妊薬の服用なし....

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 31; no. 13; pp. 978 - 981
Main Authors 佐々木厚, 永関慶重, 柿沢敏之, 佐々木秀夫, 深町彰, 貫井英明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1991
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ISSN0470-8105

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Summary:頭蓋内静脈洞血栓症は一般に頭蓋内圧亢進症状を呈するが, 閉塞の範囲・部位・速度・側副血行路の程度などにより症状は多彩であり, 出血性梗塞・脳内血腫・脳浮腫・クモ膜下出血を合併すると言われている. しかし, 静脈洞血栓症のクモ膜下出血単独発症例はまれである. 今回我々は, クモ膜下出血にて発症した上矢状静脈洞血栓症に多発性脳動脈瘤を合併したまれな1例を経験したので, その病態, 急性期の治療, および脳動脈瘤に対する手術時期に関して若干の考察を加え報告する. 症例 <患者>48才, 女性 主訴:頭痛, 嘔吐, 意識障害 既往歴:高血圧以外に特記すべきことなし. 経口避妊薬の服用なし. 家族歴:特記すべきことなし 現病歴:1986年6月15日, 突然の頭痛および意識障害にて発症したが, 安静にて4日後には軽快した. 1週間後, 再び頭痛, 嘔吐, 意識障害(somnolence)が出現した.
ISSN:0470-8105