肝腎マイクロゾーム (LKM) -1抗体陽性慢性C型肝炎由来肝細胞癌の2例
II型自己免疫性肝炎に検出される肝腎マイクロゾーム (liver-kidney-microsome: LKM) -1抗体は, C型慢性肝炎の一部にも検出される. 今回我々は, 本抗体陽性のC型慢性肝疾患の観察中, 肝細胞癌を発症した2症例を経験した. 症例1は64歳, 男性. LKM-1抗体は160倍陽性で, インターフェロン治療を行ったが, HCV-RNAの持続陰性化には至らず, その約2年後, 肝細胞癌を発症した. 手術所見ではwell differentiated hepatocellular carcinoma trabecular typeで, 非癌部は肝硬変の所見はなかった. 症例...
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Published in | 肝臓 Vol. 39; no. 5; pp. 349 - 355 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
25.05.1998
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.39.349 |
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Summary: | II型自己免疫性肝炎に検出される肝腎マイクロゾーム (liver-kidney-microsome: LKM) -1抗体は, C型慢性肝炎の一部にも検出される. 今回我々は, 本抗体陽性のC型慢性肝疾患の観察中, 肝細胞癌を発症した2症例を経験した. 症例1は64歳, 男性. LKM-1抗体は160倍陽性で, インターフェロン治療を行ったが, HCV-RNAの持続陰性化には至らず, その約2年後, 肝細胞癌を発症した. 手術所見ではwell differentiated hepatocellular carcinoma trabecular typeで, 非癌部は肝硬変の所見はなかった. 症例2は61歳, 女性. 輸血歴のあるC型肝硬変でLKM-1抗体は20480倍陽性で, 経過中, 肝細胞癌を発症し, TAEを行ったが約3年後死亡した. 我々はLKM-1抗体陽性のC型慢性肝炎は真の自己免疫性肝炎でなく, HCVの持続感染に伴う自己免疫現象であることを以前から主張しているが, かかる臨床的観察もこの仮説を支持するものと考えられる. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.39.349 |