血管内超音波(IVUS)を用いた冠動脈バイパス術後の内胸動脈グラフトの評価

内胸動脈グラフト(ITA)の術後評価として,golden standardである血管造影法による形態学的評価と,心筋シンチグラフィー,ドップラーガイドワイヤーによる生理学的評価が行われている.しかしながら,グラフト血管の内膜性状を知ることは難しい.われわれは,冠動脈バイパス(CABG)術後1年の左内胸動脈グラフト(LITA)に対して,血管内超音波(IVUS)を用いて造影所見では得られないグラフト中枢側の内腔血管壁,プラークの性状や局在を観察し,プラークの定量評価を試みた.CABG術後1年の6例に対し,冠動脈造影とLITA造影ならびにIVUSによるLITAの観察を行った.LITAは全例造影上狭窄...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 215 - 219
Main Authors 首藤, 裕, 平山, 哲三, 清水, 剛, 橋本, 雅史, 末定, 弘行, 伊藤, 茂樹, 石丸, 新
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.07.2003
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.32.215

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Summary:内胸動脈グラフト(ITA)の術後評価として,golden standardである血管造影法による形態学的評価と,心筋シンチグラフィー,ドップラーガイドワイヤーによる生理学的評価が行われている.しかしながら,グラフト血管の内膜性状を知ることは難しい.われわれは,冠動脈バイパス(CABG)術後1年の左内胸動脈グラフト(LITA)に対して,血管内超音波(IVUS)を用いて造影所見では得られないグラフト中枢側の内腔血管壁,プラークの性状や局在を観察し,プラークの定量評価を試みた.CABG術後1年の6例に対し,冠動脈造影とLITA造影ならびにIVUSによるLITAの観察を行った.LITAは全例造影上狭窄病変,石灰化など認めなかったが,IVUSで観察したところsoft plaqueが2例,hard plaqueが2例,mixed plaqueが2例において観察された.内胸動脈は動脈硬化性変化をきたしにくいという定説に反し,いずれも偏心性の動脈硬化性プラークが認められた.LITAの最小血管径は2.6±0.2mm,血管内腔面積は5.4±0.7mm2,プラーク面積率は37.1±5.9%であった.IVUSを用いることにより,造影所見では得られない血管壁構造を観察することが可能となり,プラークの性状,局在ならびに定量が可能となった.IVUSは剖検時以外得ることができないITAの組織学的性状を観察するのに有効な方法であると思われた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.32.215