新弾性接着剤(PUP-134, および201)の実質臓器出血に対する止血への応用および安全性確認

今回我々は、松田らにより血管吻合用に開発された医用弾性接着剤(PUP-134, 201)を用いて肝、脾、膵、腎臓の実質性出血に対する止血効果と止血手技および安全性につき検討した。PUP-134, 201は親水性のポリオールの両末端にジイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーで、接触面の水およびアミノ酸と反応しながら高分子化反応を起こし組織と密着し、同時に発生する炭酸ガスによる発泡にて柔軟性に富んだ接着剤となる。PUP-201は催奇形性、変異原性のないフッ素化ヘキサメチレンジイソシアネートに変換した材料である。雑種成犬9頭およびマウス75匹の肝、脾、膵および腎臓の一部を切断し、テフロンまたは...

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Published in人工臓器 Vol. 19; no. 3; pp. 1231 - 1234
Main Authors 沼謙, 司, 阿部, 元, 松田, 武久, 吉岡, 豊一, 青木, 裕彦, 谷, 徹, 小玉, 正智, 伊藤, 哲雄, 松田, 孝一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.06.1990
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.19.1231

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Summary:今回我々は、松田らにより血管吻合用に開発された医用弾性接着剤(PUP-134, 201)を用いて肝、脾、膵、腎臓の実質性出血に対する止血効果と止血手技および安全性につき検討した。PUP-134, 201は親水性のポリオールの両末端にジイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーで、接触面の水およびアミノ酸と反応しながら高分子化反応を起こし組織と密着し、同時に発生する炭酸ガスによる発泡にて柔軟性に富んだ接着剤となる。PUP-201は催奇形性、変異原性のないフッ素化ヘキサメチレンジイソシアネートに変換した材料である。雑種成犬9頭およびマウス75匹の肝、脾、膵および腎臓の一部を切断し、テフロンまたはシリコン膜にて切断面に塗布、圧迫し止血効果を確認し、1年後まで経時的に組織学的検討を加えた。1.5分の圧迫にて容易に止血され、接着面の炎症反応も48時間後以降軽度となった。PUP-201については組織毒性を、皮膚貼布試験、皮下注入、腹腔内投与および生体内易生分解性について検討したが、問題はなかった。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.19.1231