H. pylori感染を伴った胃癌術後にITPが改善した1例
H. pylori陽性のITPに対して, H. pylori除菌が有効であると,最近多く報告されている.今回,われわれはH. pyloriを感染した胃癌に対し,幽門側胃切除術を行い,術後にITPが改善した1症例を経験したので報告する.症例は77歳,男性.胃癌のため入院.血液検査で血小板は4.6万と低値, PAIgGは51ng/107cells (正常9.0~25.0) と高値であり, ITPと診断した.手術は,幽門側胃切除術, D2郭清を施行した.術中血小板10単位投与したのみで,血小板は術後徐々に上昇し,術後8日目には10.1万まで回復し,その後も10万前後で推移し,血小板の追加投与は要しな...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 5; pp. 1045 - 1048 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.05.2005
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.66.1045 |
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Summary: | H. pylori陽性のITPに対して, H. pylori除菌が有効であると,最近多く報告されている.今回,われわれはH. pyloriを感染した胃癌に対し,幽門側胃切除術を行い,術後にITPが改善した1症例を経験したので報告する.症例は77歳,男性.胃癌のため入院.血液検査で血小板は4.6万と低値, PAIgGは51ng/107cells (正常9.0~25.0) と高値であり, ITPと診断した.手術は,幽門側胃切除術, D2郭清を施行した.術中血小板10単位投与したのみで,血小板は術後徐々に上昇し,術後8日目には10.1万まで回復し,その後も10万前後で推移し,血小板の追加投与は要しなかった.摘出標本上H. Pylori陽性であった.術後4カ月後にはPAIgGは29と低下し,血小板数は正常値を維持している. H. pylori感染胃癌に対し,幽門側胃切除術施行した後, ITPが改善しており,除菌と同等の効果があったと考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.66.1045 |