虚血性脳血管障害例における降圧限界 脳血管閉塞レベルと脳循環動態

脳血管非閉塞例 (N=24, N群), 頭蓋外脳血管閉塞例 (N=17, E群) および中大脳動脈閉塞例 (N=11, M群) において, 慢性期に降圧目標を決定する目的で脳血流-血圧関係曲線を測定し, 以下の結論を得た.1) 降圧許容range (降圧前血圧値-脳循環自動調節能血圧下限値, mmHg) は血管病変が頚部, 更には頭蓋内と上昇するに従ってそれぞれ21.2, 16.9および12.0mmHgと狭くなり, N群とM群との間には有意差が認められた.2) 降圧前平均動脈血圧値に対する血圧下限値の割合をみるとそれぞれ82.7, 85.3および88.7%に位置していた.3) M群では, 脳循...

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Published in脳卒中 Vol. 9; no. 1; pp. 14 - 21
Main Authors 金子, 尚二, 澤田, 徹, 栗山, 良紘, 成冨, 博章, 菊池, 晴彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.02.1987
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Summary:脳血管非閉塞例 (N=24, N群), 頭蓋外脳血管閉塞例 (N=17, E群) および中大脳動脈閉塞例 (N=11, M群) において, 慢性期に降圧目標を決定する目的で脳血流-血圧関係曲線を測定し, 以下の結論を得た.1) 降圧許容range (降圧前血圧値-脳循環自動調節能血圧下限値, mmHg) は血管病変が頚部, 更には頭蓋内と上昇するに従ってそれぞれ21.2, 16.9および12.0mmHgと狭くなり, N群とM群との間には有意差が認められた.2) 降圧前平均動脈血圧値に対する血圧下限値の割合をみるとそれぞれ82.7, 85.3および88.7%に位置していた.3) M群では, 脳循環のdysautoregulation patternが高頻度 (45%) に認められた. 以上より, 脳血管非閉塞例における急性降圧は, 平均動脈血圧の80%までが妥当であり, 中大脳動脈閉塞例においてはその90%が限度と考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.9.14