選択的吸着カラム(IM-T 350)の臨床的有用性について

ポリビニルアルコールにトリプトファンを結合させたアフィニティカラム(IM-T 350)を重症笛無力症に対しで用い, その有用を検討した。 アセチルコリン受容体(AchR)抗体陽性の41歳の重症筋無力症患者を対象とした。1回の吸着療法でのAchR抗体価の減少率は46.4±3.2%(M±SE, n=6)と有意な減少を示した。IgM, IgA, C3, C4の減少率はそれぞれ, 30.7±4.2, 11.2±2.7, 27.4±3.5, 21.4±29, 48.2±4.8%(M±SE, n=6)であった。 計6回の吸着療法の後, 患者の臨床症状は眼症状, 握力, 筋電図所見等で改善を認め併用していた...

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Published in人工臓器 Vol. 17; no. 1; pp. 348 - 350
Main Authors 吉仲, 弘充, 芝本, 隆, 福留, 裕一郎, 飯野, 靖彦, 蓮村, 靖, 大島, 博幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.02.1988
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Summary:ポリビニルアルコールにトリプトファンを結合させたアフィニティカラム(IM-T 350)を重症笛無力症に対しで用い, その有用を検討した。 アセチルコリン受容体(AchR)抗体陽性の41歳の重症筋無力症患者を対象とした。1回の吸着療法でのAchR抗体価の減少率は46.4±3.2%(M±SE, n=6)と有意な減少を示した。IgM, IgA, C3, C4の減少率はそれぞれ, 30.7±4.2, 11.2±2.7, 27.4±3.5, 21.4±29, 48.2±4.8%(M±SE, n=6)であった。 計6回の吸着療法の後, 患者の臨床症状は眼症状, 握力, 筋電図所見等で改善を認め併用していたステロイドの減量・免疫抑制薬の中止が可能となった。また, 吸着療法の副作用を特に認めなかった。以上より, アフィニティカラムIM-T 350は比較的選択的にAchR抗体を除去し, その臨床症状を改善する以上で重症筋無力症の治療法として有用であると想定された。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.17.348