肝細胞外間質物質(Biomatrix)を培養基質とした生物学的人工肝の開発の基礎的研究
培養肝細胞を用いた生物学的人工肝作製を目的として, 肝より細胞外間質物質(Biomatrix)を調整し, これとラット灌流肝細胞の相互作用に関する基礎的研究を行い, その培養基質としての有用性を検討した。肝Biomatrixは, ラットおよびヒト正常肝より小葉内間質物質と小葉間間質物質とに分画調製した。前者は格子線維が主体であり, 後者はCollagen, 弾力, 筋線維が混在していた。ラット灌流肝細胞は, ラット, ヒト肝Biomatrixのいずれの分画にもほぼ等しく良好に生着した。他臓器Biomatrixとの比較では, 肝, 脾, 肺の順に良好な生着がみられた。肝Biomatrixに対する...
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Published in | 人工臓器 Vol. 14; no. 1; pp. 220 - 223 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
15.02.1985
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ISSN | 0300-0818 1883-6097 |
DOI | 10.11392/jsao1972.14.220 |
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Summary: | 培養肝細胞を用いた生物学的人工肝作製を目的として, 肝より細胞外間質物質(Biomatrix)を調整し, これとラット灌流肝細胞の相互作用に関する基礎的研究を行い, その培養基質としての有用性を検討した。肝Biomatrixは, ラットおよびヒト正常肝より小葉内間質物質と小葉間間質物質とに分画調製した。前者は格子線維が主体であり, 後者はCollagen, 弾力, 筋線維が混在していた。ラット灌流肝細胞は, ラット, ヒト肝Biomatrixのいずれの分画にもほぼ等しく良好に生着した。他臓器Biomatrixとの比較では, 肝, 脾, 肺の順に良好な生着がみられた。肝Biomatrixに対する生着は, Fibronectin抗体, Laminin抗体のいずれにも阻害されなかった。ラット肝Biematrix上の肝細胞は, 1週間後もAlbumin, Transferrin, C3,: Fibrinogenの分泌能を維持した。肝Biomatrix上で24時間培養した肝細胞を, Trypsin EGTAで処理したところ, ラット肝Biomatrixでは接着が強く, ヒトに比し遊離が遅延した。 |
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ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
DOI: | 10.11392/jsao1972.14.220 |