高分子材料人工骨 (PLA 肋骨ピン) の開胸手術における応用

ポリ乳酸 (polylactic acid, PLA) は短期間に生体内で分解され吸収される.この高分子材料による人工骨 (PLA肋骨ピン) を開胸手術に応用した.すなわち, 前方腋窩切開法での肋間開胸で術野の拡大とその際の肋骨骨折の予防の目的で肋骨を離断し離断肋骨の固定にPLA肋骨ピンを使用した.術前に承諾を得た36例の呼吸器外科手術に使用した.全例が操作性と作業性に優れ「良好」であった。術後の観察期間は3ヵ月~15ヵ月 (平均7.4ヵ月) で全例に良好な骨固定が得られ, 骨癒合がみられた. 骨接合部が外れたり, あるいは肋骨ピンが逸脱したりする合併症は36症例とも全ての観察期間を通じて認め...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 8; no. 1; pp. 19 - 23
Main Authors 高田, 哲也, 清水, 慶彦, 糸井, 和美, 松岡, 勝成, 中村, 達雄, 桑原, 正喜
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 1994
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.8.19

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Summary:ポリ乳酸 (polylactic acid, PLA) は短期間に生体内で分解され吸収される.この高分子材料による人工骨 (PLA肋骨ピン) を開胸手術に応用した.すなわち, 前方腋窩切開法での肋間開胸で術野の拡大とその際の肋骨骨折の予防の目的で肋骨を離断し離断肋骨の固定にPLA肋骨ピンを使用した.術前に承諾を得た36例の呼吸器外科手術に使用した.全例が操作性と作業性に優れ「良好」であった。術後の観察期間は3ヵ月~15ヵ月 (平均7.4ヵ月) で全例に良好な骨固定が得られ, 骨癒合がみられた. 骨接合部が外れたり, あるいは肋骨ピンが逸脱したりする合併症は36症例とも全ての観察期間を通じて認められなかった. また, 本材に起因する副作用は1例もみられず臨床的に安全性の高い有用なピンであることが確認できた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.8.19