多雪地の人工試験斜面に植栽されたブナのモニタリング調査

多雪, 豪雪地帯における人工斜面の積雪移動を, 木本植物の植栽により緩和するため, 基礎資料をうることを目的に, 耐雪性の高いブナを多雪地帯の土壌の薄い人工斜面に植栽し, 16年間の生存率と成長経過を斜面の方位別に調査した。16年後の生存率は, 南, 東, 北斜面でそれぞれ植栽当初の75, 45, 59%となっており, 特に南斜面において生存率が高かった。これは南斜面は日射量が多いため, ザラメユキ化の進行が早く, 雪圧が他の斜面に比べて小さくなり, 雪圧害によって枯死する個体が少なかったためと考察された。東斜面の生存率が低くなったのは, 穿孔性昆虫により, 幹が食害されて強度が低下し, 雪圧...

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Published in日本緑化工学会誌 Vol. 18; no. 2; pp. 124 - 128
Main Authors 小野寺, 弘道, 樋口, 裕美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緑化工学会 30.10.1992
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ISSN0916-7439
0916-7439
DOI10.7211/jjsrt.18.124

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Summary:多雪, 豪雪地帯における人工斜面の積雪移動を, 木本植物の植栽により緩和するため, 基礎資料をうることを目的に, 耐雪性の高いブナを多雪地帯の土壌の薄い人工斜面に植栽し, 16年間の生存率と成長経過を斜面の方位別に調査した。16年後の生存率は, 南, 東, 北斜面でそれぞれ植栽当初の75, 45, 59%となっており, 特に南斜面において生存率が高かった。これは南斜面は日射量が多いため, ザラメユキ化の進行が早く, 雪圧が他の斜面に比べて小さくなり, 雪圧害によって枯死する個体が少なかったためと考察された。東斜面の生存率が低くなったのは, 穿孔性昆虫により, 幹が食害されて強度が低下し, 雪圧害によって枯死する個体が多かったためである。しかし, 16年後にはいずれの斜面の生存率の推移も安定し, 残存個体の成長も順調であることから, 土壌の薄い多雪人工斜面においても, ブナの植林は可能であることが明らかとなった。
ISSN:0916-7439
0916-7439
DOI:10.7211/jjsrt.18.124