生物学的根面処理法に関する研究 血液凝固第XIII因子がフィブロネクチン吸着にあたえる影響
歯肉剥離掻爬手術における根面のクエン酸脱灰処理および血液凝固第XIII因子 (第XIII因子) の塗布が, フィプロネクチン (Fn) の根面への吸着に与える影響を検索した。組織学的検索として, クエン酸脱灰・非脱灰象牙質ブロックおよびそれらに第XIII因子を塗布したブロックを, ラット口蓋歯肉に挿入し, Fnの局在を免疫電顕的に観察した。さらに, 生化学的検索として, 血漿成分・第XIII因子が, 脱灰・非脱灰象牙質面へのFnの吸着量・付着力におよぼす影響を125IFnを用いて測定した。その結果, 1. クエン酸処理により, 象牙質内部までFnが浸潤・集積し, 血漿Fnの根面への吸着が促進さ...
Saved in:
Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 36; no. 2; pp. 366 - 387 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
28.06.1994
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-0110 1880-408X |
DOI | 10.2329/perio.36.366 |
Cover
Summary: | 歯肉剥離掻爬手術における根面のクエン酸脱灰処理および血液凝固第XIII因子 (第XIII因子) の塗布が, フィプロネクチン (Fn) の根面への吸着に与える影響を検索した。組織学的検索として, クエン酸脱灰・非脱灰象牙質ブロックおよびそれらに第XIII因子を塗布したブロックを, ラット口蓋歯肉に挿入し, Fnの局在を免疫電顕的に観察した。さらに, 生化学的検索として, 血漿成分・第XIII因子が, 脱灰・非脱灰象牙質面へのFnの吸着量・付着力におよぼす影響を125IFnを用いて測定した。その結果, 1. クエン酸処理により, 象牙質内部までFnが浸潤・集積し, 血漿Fnの根面への吸着が促進された。2. 第XIII因子の適用により, 血漿Fnの根面への吸着が促進された。3. 第XIII因子の存在により, Fnの象牙質への吸着量および付着力が増加した。これらのことにより, 第XIII因子は, 根面へのFnの吸着に重要な役割を示し, 根面処理における第XIII因子の適用が有用であることが示唆された。 |
---|---|
ISSN: | 0385-0110 1880-408X |
DOI: | 10.2329/perio.36.366 |