縦隔腫瘍術後ホルネル症候群を呈した4例

縦隔腫瘍の手術後に発生した Horner症候群を4例経験したので, その成因および障害部位さらに発生予防について検討した.4例はいずれも右側上後縦隔に発生した神経原性腫瘍であった.右後側方開胸によって1例は電気メス使用, 3例は非使用でいずれも腫瘍摘出術が施行された.手術より Horner症候群発生までの日数は3日目, 7日目, 12日目であり, 病悩期間は3日間の一過性の症例が1例あったのみで, 3年が2例, 3カ月が1例と現在も症状が継続している.これらの3例に対しその障害部位を点眼薬によって検索したところ, いずれも毛様体脊髄中枢から上頸神経節までの交感神経節前線維の障害であった。良性腫...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 呼吸器外科 Vol. 3; no. 1; pp. 102 - 106
Main Authors 森本, 雅巳, 正井, 光子, 大橋, 昌彦, 疋田, 仁志, 花崎, 和弘
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.1989
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ISSN0917-4141
1884-1724
DOI10.2995/jacsurg1987.3.102

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Summary:縦隔腫瘍の手術後に発生した Horner症候群を4例経験したので, その成因および障害部位さらに発生予防について検討した.4例はいずれも右側上後縦隔に発生した神経原性腫瘍であった.右後側方開胸によって1例は電気メス使用, 3例は非使用でいずれも腫瘍摘出術が施行された.手術より Horner症候群発生までの日数は3日目, 7日目, 12日目であり, 病悩期間は3日間の一過性の症例が1例あったのみで, 3年が2例, 3カ月が1例と現在も症状が継続している.これらの3例に対しその障害部位を点眼薬によって検索したところ, いずれも毛様体脊髄中枢から上頸神経節までの交感神経節前線維の障害であった。良性腫瘍摘出術の後遺症は可及的避けなければならないので, 発生予防としては電気メスを使用しないことは当然であるし, 工夫した術式を選択することであるが, 今後に残された課題といえる.
ISSN:0917-4141
1884-1724
DOI:10.2995/jacsurg1987.3.102