埼玉県長瀞産高マグねシューム質紅れん石について

長瀞の白雲母-紅れん石-石英片岩は,わが国の代表的なものとしてつとに有名であるが,その紅れん石に関する詳細な鉱物学的研究は見あたらない。最近,筆者の1人(田中)は,その模式地である親鼻の北方1kmの石切場で,粗粒の紅れん石を含んだ珪質岩のレンズを見いだし,これから紅れん石の純化に成功した。この試料について鉱物学的研究を行なったところ,これが下記の構造式(1/2単位胞)に示されるように,高マグネシューム質で,かつわが国でこれまで報告きれたもののなかで量もMnに富むことが判った。 (Ca1.48 Mg0.44)1.92 (AlVI1.86 Fe3+0.43 Mn3+0.77)3.06 (Si2.9...

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Published in岩石鉱物鉱床学会誌 Vol. 67; no. 4; pp. 117 - 127
Main Authors 田中, 耕平, 中村, 忠晴, 今井, 直哉
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本鉱物科学会 05.04.1972
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ISSN0021-4825
1883-0765
DOI10.2465/ganko1941.67.117

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Summary:長瀞の白雲母-紅れん石-石英片岩は,わが国の代表的なものとしてつとに有名であるが,その紅れん石に関する詳細な鉱物学的研究は見あたらない。最近,筆者の1人(田中)は,その模式地である親鼻の北方1kmの石切場で,粗粒の紅れん石を含んだ珪質岩のレンズを見いだし,これから紅れん石の純化に成功した。この試料について鉱物学的研究を行なったところ,これが下記の構造式(1/2単位胞)に示されるように,高マグネシューム質で,かつわが国でこれまで報告きれたもののなかで量もMnに富むことが判った。 (Ca1.48 Mg0.44)1.92 (AlVI1.86 Fe3+0.43 Mn3+0.77)3.06 (Si2.91 AlIV0.09)3.00 O13.00 H1.08 (O=13.00). この論文では,その産状,物理的諸性質,化学組成, X線的性質とともに,その熱分析曲線と赤外吸収スペクトルが示された。かつ, EPMAによる吟味の結果,その結晶粒にはMn/Feの変化による二つの型の累帯構造が認められた。
ISSN:0021-4825
1883-0765
DOI:10.2465/ganko1941.67.117