補助人工心臓システムの開発と治療効果の検討 高度心不全モデルの治療、循環制御及び回復機序の解明
補助人工心臓(VAD)による急性重症心不全モデルの治療を試み、循環制御法の確立、重症心不全からの回復機序の検討を行った。1) 広範囲心筋梗塞による高度左心不全モデルでは、左室自由壁の80%梗塞までは回復せしめ得た。2) Anoxic arrestによる高度両心不全モデルでは播種状心筋壊死となり、容量負荷と共にLVADの適用により全身循環を維持し、残存心筋が十分であれば回復せしめ得た。3) 左房圧と総拍出量の定値制御から成る補助量自動制御機構は、肺鬱血の防止と前負荷の調節を容易にし、全身の循環を良好に維持し、徐々にLAPを上昇させることにより、不全心を適正に回復せしめた。4) 高度心不全からの回...
Saved in:
Published in | 人工臓器 Vol. 16; no. 3; pp. 1135 - 1140 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
15.06.1987
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 補助人工心臓(VAD)による急性重症心不全モデルの治療を試み、循環制御法の確立、重症心不全からの回復機序の検討を行った。1) 広範囲心筋梗塞による高度左心不全モデルでは、左室自由壁の80%梗塞までは回復せしめ得た。2) Anoxic arrestによる高度両心不全モデルでは播種状心筋壊死となり、容量負荷と共にLVADの適用により全身循環を維持し、残存心筋が十分であれば回復せしめ得た。3) 左房圧と総拍出量の定値制御から成る補助量自動制御機構は、肺鬱血の防止と前負荷の調節を容易にし、全身の循環を良好に維持し、徐々にLAPを上昇させることにより、不全心を適正に回復せしめた。4) 高度心不全からの回復は、初期の左室負荷の軽減により損傷を受けた心筋の過伸展を防止し、強靱な瘢痕化を促進して残存心筋の収縮エネルギーを良好に伝達し、次いで徐々なる左室負荷の増加が残存心筋を肥大させ、又心拍数の増加、左室容積の拡大も加わって、心臓全体としての代償能力をi得せしめたと考える。 |
---|---|
ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
DOI: | 10.11392/jsao1972.16.1135 |