経口腔頸部血管超音波検査

「1. はじめに」頸部血管超音波検査はベッドサイドで容易に施行できる非侵襲的検査方法であることから, 脳血管障害患者の初期診断や病態の把握に広く行われている1)~4). しかし, 本検査は上頸部における血管の観察が下顎骨によって制限されるため, 頭蓋外内頸動脈遠位部の評価には適さない. さらに頸部手術の直後やカテーテルや中心静脈栄養ラインが頸部に挿入されている患者では, 通常のアプローチによる検査は困難である. そこで, 我々は体表からの頸部血管超音波検査法を補うものとして, 口腔から評価する経口腔頸部血管超音波検査法を考案した5). 本稿では本検査開発の歴史, 検査方法の実際と臨床応用につい...

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Published in脳卒中 Vol. 24; no. 4; pp. 415 - 419
Main Authors 伊佐, 勝憲, 峰松, 一夫, 大坪, 亮一, 矢坂, 正弘, 木村, 和美, 長束, 一行, 古賀, 政利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.12.2002
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.24.415

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Summary:「1. はじめに」頸部血管超音波検査はベッドサイドで容易に施行できる非侵襲的検査方法であることから, 脳血管障害患者の初期診断や病態の把握に広く行われている1)~4). しかし, 本検査は上頸部における血管の観察が下顎骨によって制限されるため, 頭蓋外内頸動脈遠位部の評価には適さない. さらに頸部手術の直後やカテーテルや中心静脈栄養ラインが頸部に挿入されている患者では, 通常のアプローチによる検査は困難である. そこで, 我々は体表からの頸部血管超音波検査法を補うものとして, 口腔から評価する経口腔頸部血管超音波検査法を考案した5). 本稿では本検査開発の歴史, 検査方法の実際と臨床応用について述べる. II. 歴史 口腔から超音波装置を用いて頸部血管を評価する方法は1976年にKellerらによって初めて報告された6). 彼等は棒状の探触子の先端から連続波ドプラ法を発信させ, 口腔内から椎骨動脈血流速度測定を行った. その20年ほど後の1998年に, 我々はduplex頸部血管超音波検査装置を用いてBモード法, カラードプラ法およびパルスドプラ法で頭蓋外内頸動脈遠位部の評価を試み, それをtransoral carotid ultrasonography(TOCU, 経口腔頸部血管超音波検査法)と呼び, その有用性を報告した5).
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.24.415