2.急性期脳梗塞に対する血栓溶解療法の最適の適応基準とは:時間,神経症状およびNeuroimagingの役割

「はじめに」 近年脳梗塞急性期の診療は, 新たな血栓溶解剤の開発と, 神経放射線学的な診断及び治療機器の進歩により新たな時代を迎えている. 発症より3時間以内のtissue plasminogen activator(t-PA)の静脈内投与法は, ランダム化二重盲検試験によって有効性は確認された2). しかし対象を6時間にまで延長したtrialでは, 出血性合併症が多くその効果は否定された. 一方, 脳血管内治療の手技を用いて行う血栓溶解剤の選択的動脈内投与法は, 閉塞血管を直接的に再開通させる方法であり, 理論的には最も効果が期待できる方法である. 本邦では, 多くの脳神経外科医が各施設でそ...

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Published in脳卒中 Vol. 22; no. 4; pp. 515 - 518
Main Authors 大田, 信介, 久門, 良明, 榊, 三郎, 植田, 敏浩, 大上, 史朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.12.2000
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.22.515

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Summary:「はじめに」 近年脳梗塞急性期の診療は, 新たな血栓溶解剤の開発と, 神経放射線学的な診断及び治療機器の進歩により新たな時代を迎えている. 発症より3時間以内のtissue plasminogen activator(t-PA)の静脈内投与法は, ランダム化二重盲検試験によって有効性は確認された2). しかし対象を6時間にまで延長したtrialでは, 出血性合併症が多くその効果は否定された. 一方, 脳血管内治療の手技を用いて行う血栓溶解剤の選択的動脈内投与法は, 閉塞血管を直接的に再開通させる方法であり, 理論的には最も効果が期待できる方法である. 本邦では, 多くの脳神経外科医が各施設でそれぞれの適応基準で本療法を施行しているが, 出血性合併症の報告も多く, その有効性は未だはっきりと証明されていない. 昨年未発症6時間以内の中大脳動脈閉塞症に対するprourokinaseの有用性が, 小規模なランダム化二重盲検試験によって初めて報告された2).
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.22.515