補助人工心臓(VAS)適応患者におけるVAS装着が身体及び心理社会的側面に及ぼす影響の検討

身状態の悪化した心臓移植待機患者において補助人工心臓(VAS)装着は身体面の改善に有効であるが、装着患者のQuality Of Life (QOL)は必ずしも満足すべきものではない。当施設では現在までに心臓移植待機としての5例にVAS装着を行った。今回はそのうち4例に対しQOLの身体的側面と心理社会的側面をSickness Irnpact Profile (SIP)を用いて評価し、更に心の健康の指標となる抑うつの評価もSelf-rating Depression Scale (SDS)を用いて行った。その結果、QOLの身体的側面において、VAS装着後急性期には衝撃が大きいが、全身状態の改善に伴...

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Published in人工臓器 Vol. 26; no. 1; pp. 78 - 80
Main Authors 水上, ちえみ, 中谷, 武嗣, 笹子, 佳門全, 山口, 陽子, 本田, 久美子, 上薗, 恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.02.1997
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.26.78

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Summary:身状態の悪化した心臓移植待機患者において補助人工心臓(VAS)装着は身体面の改善に有効であるが、装着患者のQuality Of Life (QOL)は必ずしも満足すべきものではない。当施設では現在までに心臓移植待機としての5例にVAS装着を行った。今回はそのうち4例に対しQOLの身体的側面と心理社会的側面をSickness Irnpact Profile (SIP)を用いて評価し、更に心の健康の指標となる抑うつの評価もSelf-rating Depression Scale (SDS)を用いて行った。その結果、QOLの身体的側面において、VAS装着後急性期には衝撃が大きいが、全身状態の改善に伴う日常生活の基本動作可能時期には衝撃が改善されていた。しかしVAS装着による行動範囲の制限により、その後のQOLに影響を及ぼす事が示唆された。心理社会的側面においては個人の性格や精神状態が大きく反映し、必ずしも身体的側面の改善に伴うものでは無かった。抑うつ状態の有無は心理社会的側面への影響が強い事が示された。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.26.78