前白血病状態を観察しえた思春期発症急性リンパ性白血病 (ALL) の1女児例

発症時, 前白血病状態を呈した15歳の女児例を報告した.入院時, 持続する発熱と軽度の肝障害を呈していた.検査所見は, 白血球数および血小板数減少がみられたが, 末梢血の芽球数増加はみられず, 入院後3週間に行われた骨髄検査で次第に芽球数増加がみられ, ALLの診断が得られた.この症例は, 最初は骨髄で芽球の割合が少なかつた点や症状が軽度であった点はpre-ALLとして報告されているものにほぼ一致するが, 他の報告例よりは年長である点や, 発症から診断までの期間が比較的短い点などは異なつていた.発症時にウイルス感染と考え, 白血球数減少に対してG-CSFを投与したことが, 比較的早期にALLを...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 15; no. 1; pp. 37 - 40
Main Authors 細川, 真一, 松下, 竹次, 倉辻, 忠俊, 関口, 典子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 28.02.2001
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.15.37

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Summary:発症時, 前白血病状態を呈した15歳の女児例を報告した.入院時, 持続する発熱と軽度の肝障害を呈していた.検査所見は, 白血球数および血小板数減少がみられたが, 末梢血の芽球数増加はみられず, 入院後3週間に行われた骨髄検査で次第に芽球数増加がみられ, ALLの診断が得られた.この症例は, 最初は骨髄で芽球の割合が少なかつた点や症状が軽度であった点はpre-ALLとして報告されているものにほぼ一致するが, 他の報告例よりは年長である点や, 発症から診断までの期間が比較的短い点などは異なつていた.発症時にウイルス感染と考え, 白血球数減少に対してG-CSFを投与したことが, 比較的早期にALLを発症したことと関連している可能性がある.しかし, 寛解導入や以後の維持療法中の顆粒球数減少時のG-CSF投与後にも芽球数増加はみられておらず, G-CSFがpre-ALLからALLの進展に直接関わっていたとは考えられなかつた.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.15.37