[第28回日本嚥下医学会]嚥下運動における声帯レベルの閉鎖 気管切開例における声門下からの観察

嚥下運動における喉頭閉鎖は誤嚥防止の重要なメカニズムの一つである。従来から嚥下時の喉頭閉鎖は、X線学的手法で観察され声帯、仮声帯、喉頭蓋レベルで順次閉鎖すうと指摘されてきたが、声帯レベルの閉鎖を直接観察することが困難であった。そこで、今回は気管切開孔を通じて声門下から嚥下時の喉頭閉鎖を観察し、嚥下時の喉頭閉鎖のメカニズムを考察した。対象は、気道管理の目的で気管切開術が施行された3症例である。喉頭ファイバースコープは、気管切開孔から挿入し、硫酸バリウム5ml嚥下時の内視鏡像と嚥下造影像とを時間情報を同期させて記録した。声帯レベルの閉鎖は、嚥下造影検査での喉頭挙上の開始より遅れ、最大喉頭挙上に達す...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 52; no. 1Supplement1; pp. S48 - S52
Main Authors 大前, 由紀雄, 安達, 仁, 唐帆, 健浩, 田部, 哲也, 北原, 哲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.01.2006
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Summary:嚥下運動における喉頭閉鎖は誤嚥防止の重要なメカニズムの一つである。従来から嚥下時の喉頭閉鎖は、X線学的手法で観察され声帯、仮声帯、喉頭蓋レベルで順次閉鎖すうと指摘されてきたが、声帯レベルの閉鎖を直接観察することが困難であった。そこで、今回は気管切開孔を通じて声門下から嚥下時の喉頭閉鎖を観察し、嚥下時の喉頭閉鎖のメカニズムを考察した。対象は、気道管理の目的で気管切開術が施行された3症例である。喉頭ファイバースコープは、気管切開孔から挿入し、硫酸バリウム5ml嚥下時の内視鏡像と嚥下造影像とを時間情報を同期させて記録した。声帯レベルの閉鎖は、嚥下造影検査での喉頭挙上の開始より遅れ、最大喉頭挙上に達するタイミングとほぼ一致し、喉頭の下降とともに速やかに解除された。また、声帯閉鎖持続時間は嚥下造影検査で観察された喉頭閉鎖持続時間より有意に短かった。嚥下時における声帯レベルの閉鎖は喉頭挙上の過程で獲得される現象であった。誤嚥防止機構としての喉頭閉鎖は、披裂部と喉頭蓋喉頭面レベルでの閉鎖が重要と考えられた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.52.1Supplement1_S48