脂質染色染料で染められた諸動物血小板の比較観察

健康な成熟した人, 二十日鼠, 天竺鼠, 家兎, 牛, 馬, 羊, 犬, 猫の少量の血液を載せガラス上に置き, 湿潤室に保存し, それから60分後までの間の時々に他の載せガラス上に塗布した. 塗布をホルマリン蒸気で固定してビクトリア青等で染色し, 血小板を比較観察した. 採血直後の血小板の大さは, 猫>人, 馬>家兎>犬>天竺鼠>牛>二十日鼠, 羊の順で, 時間の経過につれてみな膨大し, 20-30分で最大となり, その後は漸次崩壊し, 消失する. 血小板の粒子質部はビクトリア青で硝子質部よりも強く染る. 血小板のビクトリア青での染色性は採血直後には, 馬&...

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Published inArchivum histologicum japonicum Vol. 11; no. 2; pp. 239 - 265
Main Author 中西, 恒心
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 国際組織細胞学会 20.11.1956
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Summary:健康な成熟した人, 二十日鼠, 天竺鼠, 家兎, 牛, 馬, 羊, 犬, 猫の少量の血液を載せガラス上に置き, 湿潤室に保存し, それから60分後までの間の時々に他の載せガラス上に塗布した. 塗布をホルマリン蒸気で固定してビクトリア青等で染色し, 血小板を比較観察した. 採血直後の血小板の大さは, 猫>人, 馬>家兎>犬>天竺鼠>牛>二十日鼠, 羊の順で, 時間の経過につれてみな膨大し, 20-30分で最大となり, その後は漸次崩壊し, 消失する. 血小板の粒子質部はビクトリア青で硝子質部よりも強く染る. 血小板のビクトリア青での染色性は採血直後には, 馬<人<牛, 家兎<羊<犬<猫<天竺鼠<二十日鼠の順であるが, 体外に保存の時間の経過と共にこの順序は不規則に変化する. 保存された血小板のビクトリア青での染色性は速かに増し, 約5分後に最高に達するが, これは類脂質の遊離による. 次に血小板が崩壊に向うとともに, その染色性が低下する. 双極子類脂質を染める弱塩基性のビクトリア青とやはりそれを染める弱酸性のイリゾールエヒト紫BBNは血小板の極く微細の粒子を染め, 中性脂肪を染めるズダンIIIと中性脂肪と類脂質を共に染めるズダン黒Bは殆んど数個の粗大な滴または粒子を染めるのみである. 血小板の空胞は硝子質部ばかりでなく, 粒子質部にも発達し, 粒子質部の空胞が増数し増大すれば, 粒子質部は多くに分れる.
ISSN:0004-0681
DOI:10.1679/aohc1950.11.239