職域における心・血管系管理 標準12誘導心電図から得られる情報

1989年1月より12月までに職域における健康診断で施行した安静時12誘導心電図 (ECG) 12528件 (対象30-59歳) を解析した。 心電図における各伝導時間, 前額面電気軸と心拍数について性, 年齢別に検討した。PQ時間と男性におけるQTcは加齢により延長した。また前額面QRS軸も加齢により左軸偏位化した。心拍数は加齢の影響が見られなかった。ところで, PQ時間, QRS時間およびQTcは各年齢層で性差がみられた。 心電図有所見の発現頻度について, 調律, 伝導障害は1度房室ブロック, 洞性徐脈, 不完全右脚ブロックの順で, WPW症候群の発生頻度は0.18%であった。また, 電位...

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Published in日本循環器管理研究協議会雑誌 Vol. 26; no. 1; pp. 31 - 36
Main Authors 田村, 静夫, 浅井, 隆二, 八木, 洋, 鈴木, 振一郎, 細貝, 浩章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本循環器管理研究協議会 30.04.1991
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ISSN0914-7284
DOI10.11381/jjcdp1974.26.31

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Summary:1989年1月より12月までに職域における健康診断で施行した安静時12誘導心電図 (ECG) 12528件 (対象30-59歳) を解析した。 心電図における各伝導時間, 前額面電気軸と心拍数について性, 年齢別に検討した。PQ時間と男性におけるQTcは加齢により延長した。また前額面QRS軸も加齢により左軸偏位化した。心拍数は加齢の影響が見られなかった。ところで, PQ時間, QRS時間およびQTcは各年齢層で性差がみられた。 心電図有所見の発現頻度について, 調律, 伝導障害は1度房室ブロック, 洞性徐脈, 不完全右脚ブロックの順で, WPW症候群の発生頻度は0.18%であった。また, 電位および位置情報は左室肥大 (LVH)所見が37%を占めた。現在のLVH判定基準は一部改定する必要がある。 最終的に専門医に異常を指摘された所見は697件 (5.6%) であった。この中で心室性期外収縮 (VPC) と左室高電位 (LVH) およびST-T異常を示し2次精密検査で治療または経過観察となった者について検討した。前者のVPC例はホルターECG検査を施行し5例が治療適応となり, また, 後者 (0.06%に巨大陰性T波所見) にはトレッドミル, 心臓エコー検査を施行し, 30例に肥大型心筋症の疑いがあった。これらの結果は, 今後健診におけるECG読影に有用な情報を提供できるものと考える。
ISSN:0914-7284
DOI:10.11381/jjcdp1974.26.31