走査電子顕微鏡による培養歯胚細胞の観察, とくに上皮性細胞の遊走について

顕微鏡下で 新生仔マウスの臼歯歯胚からエナメル上皮のみを取りだして, 直接 カバーグラス上に貼りつけて培養する. この培養法によると, 移植片から遊走する細胞は 形態的には上皮性で, 恐らくエナメル芽細胞であろうと思われる. 透過電顕的にも張原線維とデスモソームが豊富で, 上皮由来と考えられる. 移植片からの上皮性細胞の遊走の過程を走査電顕で詳細に観察すると, 細胞間結合について 次の4型に分けることができる. 1. 移植片に近い部位では 細胞境界は多数の微絨毛の集積によって形成されている. 2. さらに外側で, 細胞の遊走が進むと 細胞間隙が広がり, 細胞間結合は 櫛状の細胞質突起によって形...

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Published inArchivum histologicum japonicum Vol. 41; no. 2; pp. 157 - 165
Main Authors 立花, 民子, 石関, 清人, 名和, 橙黄雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 国際組織細胞学会 1978
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ISSN0004-0681
DOI10.1679/aohc1950.41.157

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Summary:顕微鏡下で 新生仔マウスの臼歯歯胚からエナメル上皮のみを取りだして, 直接 カバーグラス上に貼りつけて培養する. この培養法によると, 移植片から遊走する細胞は 形態的には上皮性で, 恐らくエナメル芽細胞であろうと思われる. 透過電顕的にも張原線維とデスモソームが豊富で, 上皮由来と考えられる. 移植片からの上皮性細胞の遊走の過程を走査電顕で詳細に観察すると, 細胞間結合について 次の4型に分けることができる. 1. 移植片に近い部位では 細胞境界は多数の微絨毛の集積によって形成されている. 2. さらに外側で, 細胞の遊走が進むと 細胞間隙が広がり, 細胞間結合は 櫛状の細胞質突起によって形成される. 3. 細胞の遊走がさらに進むと, 櫛状の細胞質突起の先端が分岐遊離して, 自由に他の細胞表面に伸展し, 遊走するようになる. 4. 移植片の最外層になると, 細胞周辺に伸展した細長い細胞質突起が発達し, 最終的には隣接する細胞から離れて, 単細胞として運動を始めるようになる.
ISSN:0004-0681
DOI:10.1679/aohc1950.41.157